少年時代、NHKの大河ドラマを見て歴史好きになった。昭和53年に放送された「黄金の日々」も思い出深い作品だ。近世時代の堺を舞台に城山三郎の原作で、市川染五郎(現・松本幸四郎)が主演だった。「堺は東洋のベニスの如し」と、当時来日したイエズス会宣教師ガスパル・ビレラが評したほどの国際貿易都市だった。その堺から大海原を越えて、豪商らが自由を求めて木造船で現在の東南アジア各国に渡っていく。壮大な物語に、胸躍らせたものだ。 「堺は今でもアセアン(東南アジア諸国連合=ASEAN)各国との結びつきが強いんですよ。そう、ベトナムの近畿地方などを所管する総領事館は堺にあるぐらいです」。知人からそう聞かされた。各国の大使館は東京にあり、総領事館は、各主要地域の道府県庁所在地にあることが大半だ。関西では多くは大阪市内となる。堺を訪ねたら、なんとも因縁深いいきさつがあった。 それは、今から13年ほど前に遡(さかの