本書は、コンサルタントである著者が、約1年間、ブータン政府職員として働いた経験をもとに書かれた見聞記です。実際に住んで現地の人と生活をともにした人ならではの生き生きとした描写が、ブータンの人々への暖かい共感とあいまって楽しみながらブータンについて色々な方向から知ることができます。 ブータンは、国民の幸福度を高めることを目標とするユニークな国策(GNH)が先進国の間で有名になり、日本でも昨年、国王夫妻が訪れたことなどから知名度が高まっている国です。閉塞感に苦しむ最近の日本と対比して、ブータンを理想的な国として思い描く人も少なくない。 私も、ブータンには興味を持っていました。それは、「ブータンの人は仕事についてどう思っているのだろう?」ということが気になっていたからです。日本も、世界的に見れば、まあそんなに悪い国ではありません。街は清潔で犯罪率は低く、インフラは整備されており医療水準も高い。こ