検非違使に問われたる貴ノ岩の物語 さようでございます。あの男に殴られたのは、わたしに違いございません。わたしは昨晩いつもの通り、鳥取城北高校のOB会の飲み会に参りました。すると酒宴の途中で突然、あの男が殴りかかってきたのでございます。 凶器が何かは見えなかったか? いえ、頭を抱えていたので何も見えません。ただその側の机の下に、ビール瓶が一本落ちて居りました。それから、――そうそう、さらにカラオケのリモコンとその他にも灰皿が一つございました。あの男のまわりにあったものは、この三つぎりでございます。が、素手で四・五十発も殴られましたから、きっとあの男は怒り出す前に、よほど痛飲したのに違いございません。何、白鵬関は止めなかったか? あそこは一体白鵬関なぞには、はいれない所でございます。何しろ日馬富士関とは、年が一つ隔たって居りますから。 検非違使に問われたる照ノ富士の物語 日馬富士関には、確かに