天才とは何だろう? 一般的には「とくに創造的活動において発揮される、すぐれた知的才能」と定義されている。『優生学』を打ち立てたフランシス・ゴルトンのように「世界中がその功績に対して大きな恩義を感じるような人物」としたほうがより実際的かもしれない。 ダーウィンのいとこであったゴルトンは「天才とは遺伝の産物」と考えていたが、はたしてそうだろうか。いみじくもそのゴルトン本人が指摘したように、人間は「氏と育ち」からなりたっていることは間違いない。天才の「育ち」、すなわち、創造性を育てる環境を探ってみようというのがこの本だ。 そのためにとられた方法は、世界旅行である。なんやそれは、と思われるかもしれないが、ある時代に複数の天才が何人も出現した都市が厳然と存在する。そういった都市を巡り歩くことによって、天才を生み出した環境をあぶりだそうというのだ。 選ばれた都市は、アテネ、杭州、フィレンツェ、エディン