HONZのブックマーク (923)

  • 『人生で大切なことは泥酔に学んだ』悲しいかな、酒を呑んでしくじったところで人生は終わらない - HONZ

    タイトルにつられてクリックしたあなたは、きっと経験があるはずだ。気持ち悪くて起きられない。前の晩に二軒目、三軒目に行かなければ、いや、最後の一杯が余計だったか。そんなことを今更、寝床で悔いても問題は解決しない。 会社員は何もしなくても、会社にいることが重要と人生の諸先輩方が教えてくれたように、雨が降ろうが雪が降ろうが、はたまた槍が降ろうが会社を目指さなければならない。果たして、匍匐前進のように腹ばいでトイレにようやくたどりついた人間が、どのようにして会社に行けるのかはいつも謎なのだが。 そういうときは絶望的な気分になる。ああ、もうダメだ、今日は行けないかも、人間として終わっている。ところが、人間は自分の経験では学習しない。決死の覚悟で会社に出向き、脂汗をかきながら耐えていると昼過ぎにはあれよあれよと体調が急回復を示し、夕刻になると赤提灯に誘われ、24時間後には便器とまた向き合っているのだ。

    『人生で大切なことは泥酔に学んだ』悲しいかな、酒を呑んでしくじったところで人生は終わらない - HONZ
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    HONZ 2019/07/03
  • 『流れといのち 万物の進化を支配するコンストラクタル法則』生命の知恵の結晶 - HONZ

    空や川など自然界には美しい流れがあり、多数のいのちが宿っている。書は自然や社会現象などを含む万物がどのように、なぜ進化するかを明らかにした、極めて意欲的な科学書である。 著者は米国デューク大学特別教授の機械工学者で、米国版ノーベル賞といわれるベンジャミン・フランクリン・メダルを2018年に受賞した。 副題にある「コンストラクタル法則」とは、物質と非物質を問わず進化はより良く流れるかたちに進化する、という物理法則で、著者が1996年に工学系の専門誌に発表したものだ。ちなみに原語のconstructalは彼の造語で、生物と無生物の全てに対して普遍的に成り立つ法則というのが著者の主張である。 コンストラクタル法則は、一般向けには前作『流れとかたち』(紀伊國屋書店、2013年)で啓発書として発表され、読書界に強いインパクトを与えた。今作ではさらに射程を「生命(いのち)」にまで拡張し、自然界に見ら

    『流れといのち 万物の進化を支配するコンストラクタル法則』生命の知恵の結晶 - HONZ
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    HONZ 2019/06/30
  • 『ストーカーとの七〇〇日戦争』勇気ある行動が教える、社会の硬直性の破り方 - HONZ

    交際8カ月で別れ話を切り出したら、スマートフォンの着信履歴が埋まり、LINEには恫喝のメッセージが届く。身の危険を感じ、警察に相談したら、交際相手は偽名で前科があることまで判明する。私が付き合っていたのは誰なのだろうか。もしかしたら凶悪犯なのか。これからどうなるのか──。 平成生まれの新たな犯罪の1つが「ストーカー」だ。昔からつきまといによる被害はあったものの、長らくは「民事不介入だから警察は手を出さない」が常識だった。1999年に起きた桶川ストーカー殺人事件が契機となり、ストーカー規制法が制定され、犯罪として認知された。 とはいえ、多くの人には対岸の火事だろう。いきなり我が身に降りかかったら、誰もが右往左往するはずだ。 今なら前述のストーカー規制法が犯罪抑止の一助になると思われるかもしれないが、残念ながら著者が被害にあった当時は、SNSへの書き込みは規制の対象外だった。法が現実を後追いす

    『ストーカーとの七〇〇日戦争』勇気ある行動が教える、社会の硬直性の破り方 - HONZ
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    HONZ 2019/06/29
  • 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』無類に面白い!少年の成長物語 - HONZ

    今年もっとも感情を揺さぶられた一冊だ。 なにしろこのを読んでいる間、いい歳して中学生かよ!というくらい落ち着きがなかった。世の中の不条理に憤って汚い言葉を口にしたかと思えば、声をあげてギャハハと笑い、気がつけば目を真っ赤にして洟をかんでいた。 ノンフィクション好きで著者の名前を知らない人はいないだろう。ブレイディみかこさんは地元福岡の進学校を卒業後、音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、英国で保育士資格を取得、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始し、2017年に『子どもたちの階級闘争−ブロークン・ブリテンの無料託児所から』で新潮ドキュメント賞を受賞した。ここ数年、注目を集める書き手である。 書は彼女がこれまで書いたものの中で、もっともプライベートな色合いの濃い一冊といっていいだろう。彼女は英国南部のブライトンという街で、アイルランド出身で大型ダンプの運転手をしている配偶

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    HONZ 2019/06/26
  • 物語はいかに、どれほどこの世界に影響を及ぼしているのか──『物語創世──聖書から<ハリー・ポッター>まで、文学の偉大なる力』 - HONZ

    物語はいかに、どれほどこの世界に影響を及ぼしているのか──『物語創世──聖書から<ハリー・ポッター>まで、文学の偉大なる力』 物語とは、いったいどれほどの力を持っているのか? ギルガメッシュ叙事詩や『イリアス』のように、時に偉大な物語は人々の文化の「基盤」となって、行動や思考に大きな影響を与えることがある。 基盤テキストとはなにか 書では、そのような世界に対して強い影響力を持つ物語のことを「基盤テキスト」と呼称している。その格好の一例は聖書だ。たとえば、アポロ計画二度目の有人宇宙飛行ミッションにあたるアポロ8号が、月の周回軌道を回っている時に、聖書の『初めに、神は天地を創造された』から始まる10節を、何十億もの地球の人々へ向けたメッセージとして読み上げた。 しかし、アポロ八号が教えてくれた最も大事なことは、聖書などの基盤テキスト(foundational text)がいかに強い影響力をも

    物語はいかに、どれほどこの世界に影響を及ぼしているのか──『物語創世──聖書から<ハリー・ポッター>まで、文学の偉大なる力』 - HONZ
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    HONZ 2019/06/25
  • 『世界の辺境とハードボイルド室町時代 』歴史学者と探検家の目 - HONZ

    歴史学者と探検家は同じ目をしている。といってもインディアナ・ジョーンズの話ではない。安楽椅子探偵とハードボイルド探偵ほど違う存在がともに事件の解決を追い求めるように、古文書を掘り起こして歴史の細部から埃を払う歴史学者と、命をかける大冒険で世界の辺境に旅をするノンフィクション作家とは、実は同じものを求め、同じところを見ている。彼らは異世界を見て、異世界に旅することを知っている人たちなのである。 このは、中世社会史を専門にする歴史学者と探検旅行を旨とするノンフィクション作家の出会いから生まれた。清水克行は『喧嘩両成敗の誕生』(講談社選書メチエ、2006年)で中世における紛争解決から当時の社会のありかたを浮き彫りにした。一方で高野秀行は『謎の独立国家ソマリランド』(の雑誌社、2013年)において、崩壊国家ソマリアの中に奇跡のように生まれたソマリランドという未承認国家を訪れる。はるか過去の史実

    『世界の辺境とハードボイルド室町時代 』歴史学者と探検家の目 - HONZ
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    HONZ 2019/06/24
  • 絶滅寸前のインド仏教復活!その立役者は……『世界が驚くニッポンのお坊さん 佐々井秀嶺、インドに笑う』 - HONZ

    仏教誕生の地、インド。だが、みなさんはご存知だろうか? インドでは一時、仏教が存続の危機にあったことを。その激減した仏教徒を1億5000万人にまで増やす偉業を成し遂げた最高指導者が、日人であることを。「仏教徒を増やす」ことは、ほかならぬ貧困や差別との闘い、「不可触民」と呼ばれる人たちを救うためであった、ということを。 書で描かれるのは、今もそのインド仏教の頂点に立つ、佐々井秀嶺(しゅうれい)氏の生き様である。 1935年に岡山県で生まれ、32歳でインドに渡った。自殺未遂を繰り返した青年時代、劇的な出来事に導かれてインドに渡り、暗殺者につけねらわれながら差別と闘い続ける現在……、その人生は波瀾万丈の一言では済まされない。 ――しかし恥ずかしながら、私はインドで仏教が滅びつつあったことも、佐々井秀嶺というすごいお坊さんがいることも、まったく知りませんでした! ではなぜ書を手にとったのかと

    絶滅寸前のインド仏教復活!その立役者は……『世界が驚くニッポンのお坊さん 佐々井秀嶺、インドに笑う』 - HONZ
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    HONZ 2019/06/23
  • 『138億年宇宙の旅』 - HONZ

    このを読んでいると、目がくらくらします。 これにはいくつかの意味があります。まず、息を呑む展開でぐいぐいと話が進んでいくので、そのままの勢いで読み続けると目が回り始めます。ときどき立ち止まって深く息をして、ちょっと戻ってからあらためて読み始めないといけません。 次に、「あなた」と呼びかけられて、いきなり星の爆発に出くわされ、ブラックホールからジェットで噴き出され、飛行機に乗って400年後に行き、極小になって電子をつかみ(そこない)、果ては超極小の余剰次元を漂ってたくさんの宇宙を見下ろす羽目になるのです。次に何が起こるかわからない旅に引きずり出されてしまいます。 そして旅の間に解説が入り、天体の仕組みから宇宙の構造、高速の世界の特殊相対性理論から極小の世界の量子力学、そして重力の一般相対性理論と、専門の大学院生でも四苦八苦する物理学の深遠な内容が、あっという間に頭に植え付けられてしまうので

    『138億年宇宙の旅』 - HONZ
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    HONZ 2019/06/22
  • 『流れといのち 万物の進化を支配するコンストラクタル法則』物理学から見えてくる生命の新しい景色 - HONZ

    生命とは何か? こう問われたら、多くの人は生物学というフレームワークを用いて解を導こうとするだろう。しかし、書のアプローチは一味違う。徹底的に物理学からアプローチして、この問いに挑もうとするのだ。 著者は2018年に米国版ノーベル賞と言われるベンジャミン・フランクリン・メダルを受賞した科学者。これだけ聞けば、書には難解な数式が多く出てくると思うかもしれないが、それは違う。 書が拠り所にするのは、著者が「コンストラクタル法則」と名付けた法則。それは書で以下のように説明される。「有限大の流動系が時の流れの中で存続するためには、その系の配置は、中を通過する流れを良くするように進化しなくてはならない」。 書は、コンストラクタル法則の提唱者である著者が、森羅万象を物理学的な見地から語ることで、その法則の有用性を示した一冊である。 この法則の意義深さは、生命と捉える対象が、無生物の領域にも及

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    HONZ 2019/06/22
  • 『富士山はどうしてそこにあるのか』 美しい地形には、賞味期限がある - HONZ

    HONZが送り出す、期待の新メンバー登場! 鎌田 浩毅は言わずとしれた京大の人気教授にして、火山学者。専門の地球科学のみに留まらない読書量や、その深い教養から、”HONZのイニエスタ”の異名をとる。いや、見た目とかじゃなくて…。今後の彼の活躍にどうぞ、ご期待ください!(HONZ編集部) 新幹線の車窓から見る富士山は美しいが、これがいつ噴火してもおかしくない活火山であることを知る人は少ない。書は日人の「心のふるさと」と言っても過言ではない富士山の地学的な成り立ちを、初心者にも分かりやすく解説した入門書である。著者は長年、東京都立大学(首都大学東京)で教鞭を執ってきた地形学者で、活断層の専門家でもある。 書はNHKラジオ第2放送のカルチャーラジオ「科学と人間」で放送された内容に加筆して書かれた。富士山のみならず関東平野を含む日列島の形成史が図版を交えて解説される。地球科学の基概念であ

    『富士山はどうしてそこにあるのか』 美しい地形には、賞味期限がある - HONZ
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    HONZ 2019/06/20
  • 『食の実験場アメリカ-ファーストフード帝国のゆくえ』躍動感あふれる創造の歴史 - HONZ

    白人によって作り上げられた「ファストフード帝国」。画一化されていて正直面白みに欠ける反面、汎用性の高さゆえに世界中至るところへ浸透している。恥ずかしながら、書を読む前に「アメリカ文化」としてまず思い浮かぶのはこの印象だった。 しかしその原点にまで遡っていくと、まったく異なる景色が見えてくる。元をたどればそこには画一化とはほど遠い多様さがあり、また必ずしも白人たちが主役だったわけでもない。 アメリカを代表するとされるべ物の中には、実は非西洋にルーツを持っている例が少なくない。ポップコーンは先住インディアン由来のべ物だし、フライドチキンは黒人奴隷と深い関わりを持っている。 外部からの影響の大きさを抜きにして、アメリカ文化を語ることはできない。書はそんな立場から、従来のイメージとは異なるアメリカの実像に迫る一冊だ。 植民地時代〜独立革命期まで遡っていくと、アメリカ文化の形成

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    HONZ 2019/06/19
  • 『キン肉マン「超人」初回限定ケース版 』を買ったのは、どういう人たちなのか? - HONZ

    これがノンフィクションであって、HONZの読者世代と重なっているのであろう重要なである。ということは吉村 博光の熱すぎる説明(というか言い訳?)に譲りましょう。とにかく、発表されたときに「すごいが出てくるな」と思った人は間違いなくジャンプ黄金期世代。その証拠に、書店店頭での予約も大盛り上がりで、当初想定を超える初版になったとか。 学研の図鑑シリーズにちゃっかり入って読者を待つ『キン肉マン「超人」』はいったい誰に買われているのでしょう。今回のテーマはこちらです。 まずは読者層から見ていきます。 この「超人」には通常版と初回限定ケース版の二種類のバージョンが用意されています。今回は発売日すぐに購入したより熱心な読者に読まれているであろう、初回限定ケース版について見ていきます。 ジャンプ黄金期と言われる1985年~90年あたりに小学生だった世代は今ちょうど40代。まさにその世代に購入されてい

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    HONZ 2019/06/17
  • 『資本主義と闘った男』我々がまだ知らない本当の宇沢弘文とは - HONZ

    私たちはまだ当の宇沢弘文のことを何も知らない・・・これが書を読了しての思いである。そして、宇沢とは何者で、どこから来て、どこへ行こうとしていたのか、その全てを詳らかにしてくれるのが書である。これをきっかけに宇沢の功績の再評価が行われるに違いないと確信させる、経済学歴史に残る名著である。 「ノーベル経済学賞に最も近かった日人」であり、「社会的共通資」(Social Common Capital)の重要性を訴えた思想家である「宇沢弘文」という巨人の全貌を理解するのは至難の業である。その裾野は限りなく広く、その頂きは限りなく高く、私たちを容易には近づけてくれない。 そうした意味で、宇沢は自身が語っているように、ひとりぼっちの孤独な思想家であり社会活動家だった。多くの天才たちが同時代の人々に理解されてこなかったように。そして、その孤高の天才の86年に及ぶ生涯を、大部な640頁の評伝にま

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    HONZ 2019/06/16
  • 『「うつ」は炎症で起きる』 「それは体の問題」という新たな視点 - HONZ

    若い医師はあるとき、リウマチ性関節炎と診断されていた女性患者がうつ病をも患っていることに気づいた。そのささやかな発見に気をよくした彼は、上機嫌で先輩医師にその旨を伝える。だが、先輩医師から返ってきた反応はきわめて淡白なものであった。「うつ病? そりゃ、君だってそうなるだろうよ」。 以上は、書の著者エドワード・ブルモアが内科の研修医時代に実際に経験したことである。そしてそのエピソードは、うつ病がこれまでどのように扱われてきたのかをよく物語っている。それはすなわち、「うつ病のような精神疾患はすべて心の問題だ」という扱われ方である。「そりゃ、君だって関節炎のことで悩むだろうし、そうしたらうつ病にでもなるだろうよ」というわけだ。 しかし、著者はいまやまったく別様に事態を見ている。その見方は、かつては自分でも「いかれている」と思えたようなものだ。著者曰く、先の女性患者は「リウマチ性疾患のことを思い

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    HONZ 2019/06/12
  • とまどわないペリカン 『ハシビロコウのすべて』 - HONZ

    「動かない鳥」として、大人から子どもまで人気があるハシビロコウ。しかし、意外にも、そのは世に少ない。書は待ちに待った「一冊まるごとハシビロコウ」である。日の動物園で会える13羽の性格や名前の由来などを写真とともに紹介。『ざんねんないきもの事典』の今泉先生監修のもと、謎に満ちたその生態をイラストで徹底解説している。 ハシビロコウという鳥は、眺めているだけで想像力をかきたてられる鳥だ。書もまた然りである。を開いて、最初に目に入った写真(下)では、その個体差に陶然となった。様々な顔つきの人がいるように、彼らも個体ごとに顔つきが相当違うのだ。その顔つきを見比べるのは、ことのほか楽しい。 その後に続く章では、野生のハシビロコウの写真をもとに、出会いから巣立ちまでをストーリー仕立てで紹介している。ジッとして動かない写真はもちろん、大空をはばたく貴重な写真や、お辞儀して求愛している写真などが

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    HONZ 2019/06/09
  • 忘れ去られしカオスな物語群にどっぷり浸かる『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』 - HONZ

    忘れ去られしカオスな物語群にどっぷり浸かる『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する』 もうタイトルからして「なんじゃこりゃ」だが、読み終わっても「なんじゃこりゃ」である。でも面白いんだから書評するより仕方ない。書(通称・まいボコ)を一言で説明するならば、明治時代、夏目漱石や森鴎外といった純文学作家の作品よりも人気を博した忘れ去られしエンタメ作品(著者は「明治娯楽物語」と呼ぶ)が多数存在し、それらをツッコミ入れつつざっくばらんに紹介しまくるだ。なぜ現在この作品群の知名度が全くないかというと、当時はまだ文学が未成熟、手探り状態にあり、現代の水準からすればどれもこれも「小説未満」で、時代の流れの中で風化してしまったためだ。要するに今読んでもつまらないのである。 とはいえ、どんなに粗雑でくだらなくても、そこには作

    忘れ去られしカオスな物語群にどっぷり浸かる『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』 - HONZ
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    HONZ 2019/06/06
  • 『わたしは哺乳類です』母乳から知能まで、進化の鍵はなにか - HONZ

    精巣が体外に出たわけ 「オギャー」と産声をあげて母乳を求めたことなどとんと思い出せないように、わ たしたちは自分が哺乳類であることも日頃すっかり忘れている。でも、紛れもなく 哺乳類の一員で、だからこそ人生は“哺乳類生”でもあるのだ。わたしたちの生命 の大きなサイクルは、そのまま哺乳類のスタイルに深く根ざしている。 それなのに、わたしたちは哺乳類が「どこから来て、どのように今の姿になったの か」、その“進化の鍵”をまだ解き明かしてはいない。書は最新の知見を盛り込 みながら、こうした謎に挑んでいく。 著者はサイエンスライターにして、神経生物学の博士号を持ち、ロンドン大学ユニ バーシティ・カレッジとコロンビア大学で12年間も哺乳類の脳などの研究に携わっ てきた。うってつけの名ガイドだが、私的な体験(子どもの誕生、サッカーのゴー ルキーパー、森の思い出など)もまじえることで、親しみやすく楽しい読

    『わたしは哺乳類です』母乳から知能まで、進化の鍵はなにか - HONZ
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    HONZ 2019/06/03
  • 『サカナ・レッスン 美味しい日本で寿司に死す』 - HONZ

    著者キャスリーン・フリンと夫のマイクと待ち合わせをしたのは、読者ミーティングが開催された目黒セントラルスクエア内のスターバックスコーヒーだった。二人が私を見つけやすいように、私は窓際の席を選んで座っていた。 五分ほど経過した頃だろうか、ひときわ背の高い、恰幅の良いマイクの姿が見えた。マイクの少し後ろをキャスリーンが歩いていたが、気が急いているのか、それとも小柄な彼女が歩幅の広いマイクについて行くのに苦労しているのか、ほとんど走っているように早足だった。その上とても緊張している表情で、口元をきゅっと結び、いつもの明るい笑顔はどこかに消えていた。店の入り口近くになって、キャスリーンはよりいっそう緊張したように見えた。緊張どころか、彼女は今にも泣き出しそうな表情をしていたのだ。大きな両目にいまにも溢れんばかりに涙をためて、焦りながら店内に入って来る様子は私のいる場所からもよく見えていた。いつの間

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    HONZ 2019/06/02
  • 文学を語ることばで科学を語る。『科学する心』 - HONZ

    「あまりに面白くて一晩で一気に読み終えました。この広大なテーマでエッセイを書ける人は他にいません」。池澤夏樹・著『科学する心』の帯に書かれた吉川浩満さんの推薦文です。文学者のことばで科学を語るエッセイ集として話題になっている『科学する心』。このの刊行記念として、三省堂書店池袋店の主催で行われた池澤夏樹さんと吉川浩満さんの対談イベント(4月25日)の模様をダイジェストでお届けします。(HONZ編集部) 池澤:今日はまず、吉川さんに御礼を言わないといけません。このを出す前に、何かとんでもない間違いをしているんじゃないかと心配になって、ゲラをお送りして、目を通していただきました。いわば学術的な査読をお願いした。実際、あちこちにあった間違いを教えていただき、そのおかげで無事に出版できました。大変ありがたいことでした。 吉川:すごく面白くて、一晩で一気に読みました。すぐに編集の方にメールを送っ

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    HONZ 2019/06/02
  • 『宇宙と宇宙をつなぐ数学』未来からやってきた数学理論 - HONZ

    数学に関するを読んで感動したのは初めてかも知れない。以前、NHKスペシャルで、ロシアの天才数学者グリゴリ・ペレリマンが数学の超難問「ポアンカレ予想」を証明した過程を追ったドキュメンタリー番組『100年の難問はなぜ解けたのか ~天才数学者失踪の謎~』を見て、数学の世界のすさまじさに感心したものだが、それをはるかに上回る衝撃である。 2012年8月30日、京都大学数理解析研究所の望月新一教授が、ホームページ上に公開した500頁超に及ぶ4つの論文で、後に「未来から来た論文」と呼ばれることになる全く新しい理論である「宇宙際タイヒミュラー(Inter-Universal Teichmüller Theory)理論」を打ち出し、数学にとって極めて重要な「ABC予想」を解決したと主張して、数学界に激震が走った。 「ABC予想」は、a+b=cを満たす互いに素な自然数の組に関する予想で、「フェルマーの最終

    『宇宙と宇宙をつなぐ数学』未来からやってきた数学理論 - HONZ
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    HONZ 2019/05/26