前回までのお話をおさらいしますと、1967年に発効した宇宙条約により、宇宙空間や天体の一部もしくは全部を地球上の国が所有することはできません、と。しかしながら、月や小惑星にある資源を採掘して、自国のものにすることは可能である、とされていて、そのあたりにビジネスが発生する、と。 清水:そうなると、利益をめぐる競争が起き、適切な枠組みがなければ望ましくない事態を生んでしまうかもしれない。それを回避するための議論の土台として宇宙倫理が求められる、ということですね。 澤本:利益争奪戦が起きたら、国家間で格差が拡大していくことでしょうし。 清水:そこがまさしくいま、国連で議論されている問題です。 SDGs(持続可能な開発目標)の次は宇宙倫理だ、と。 清水:前回も少し言及しましたが、国連の中にCOPUOS(宇宙空間平和利用委員会)というものがあります。現在では参加国が100カ国を超える大所帯になってい
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