「歴史的」と自賛した政権交代から10カ月余り。もはや今の民主党に当時の輝きは見いだせない。党所属議員の怒りと困惑、そして狼狽の表情。はて、どこかで見たような気がするな…。そう、落城前夜の自民党政権とそっくりではないか。 自民党の政権からの転落は、平成19年の参院選大敗北に始まった。これで衆参両院は大きくねじれ、その後の自民党政権は民主党の攻勢に苦しめられることになるのだが、安倍晋三首相(当時)を追い詰めたのは野党ではなく自民党だった。 反主流派は参院選の敗因について激しく「総括」を迫り、前任の小泉純一郎首相が敷いた構造改革路線までもやり玉に挙がった。小泉氏の「郵政解散」で政治生命をつないだのは一体誰だったのか。「若手のホープ」だった安倍氏の人気にあやかろうと総裁選に担ぎ出したのは一体誰だったのか。まったく自民党内の理解不能な「魔女狩り」は結局、安倍氏が病に倒れ、退陣するまで収まることはなか