ブックマーク / natgeo.nikkeibp.co.jp (13)

  • チョウが大西洋を横断、おそらく初確認、全長7000kmの超長旅か

    西アフリカの国ベナンで、低木に留まって休むヒメアカタテハ(Vanessa cardui)。(PHOTOGRAPH BY GERARD TALAVERA) ヨーロッパで生まれたチョウが、西アフリカを経て南米まで7000キロを旅した可能性を示す研究結果が発表された。昆虫の渡りとしては最長クラスの記録となる。研究は6月25日付けで学術誌「Nature Communications」に発表された。 10年ほど前のある秋、論文の筆頭著者でナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探求者)のへラルド・タラベラ氏は、南米フランス領ギアナの海岸で「いるはずがない」ものを探していた。ヒメアカタテハ(Vanessa cardui)と呼ばれるチョウの仲間だ。 トラのような体色のヒメアカタテハは、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、北米、オーストラリアでよく見られる。南米には生息していないのだが、時折そこでヒメア

    チョウが大西洋を横断、おそらく初確認、全長7000kmの超長旅か
  • 人の顔を認識できない「相貌失認」は意外に多い? 最大5%にも

    親しい人の顔を覚えられなかったり、目の前にいる人の顔を識別できなかったりする「相貌失認」の人は、これまで考えられていたよりも多い可能性が研究で明らかになった。(PHOTOGRAPH BY BALLBURN_PHOTOGRAPHY, GETTY IMAGES) 伝説の霊長類学者ジェーン・グドール氏、俳優のブラッド・ピット氏、そして『と帽子をまちがえた男』の著者として知られる神経学者の故オリバー・サックス氏の共通点は何か? 答えは親しい人や有名人の顔を覚えられなかったり、見分けがつかなかったりする「相貌失認(そうぼうしつにん)」だ。 長年、相貌失認はまれな障害とされてきたが、2023年に学術誌「Cortex」に掲載された論文によれば、相貌失認の人はこれまで考えられていたよりも多い可能性があるという。この研究では、相貌失認の重さや症状は連続的で、その有無を単純に判定できず、使用する基準によって

    人の顔を認識できない「相貌失認」は意外に多い? 最大5%にも
  • 大量に噴出する水素ガスを発見、世界を変えるエネルギー源に?

    米ノースカロライナ州沿岸部のLiDAR(光による検知と測距)画像。地中から漏れ出している水素ガスによって、明るく円形に色づいて見える。地中から水素を回収できれば、温室効果ガスを排出せずに発電できるため、水素が大量に蓄えられた場所を探す取り組みが続けられている。(PHOTOGRAPH BY VIACHESLAV ZGONNIK AND MICHAEL DAVIAS) 地質学の実地調査は、噴火する火山の斜面や極寒の南極の谷底など、ときに過酷な場所で行われる。とはいえ、何度も爆発した鉱山の中で調査されることはあまりない。ところが、南欧アルバニアにあるクロム鉄鉱の鉱山で、まさにそれが行われた。科学者たちの目当ては、ほぼ純粋な水素ガス。爆発のもとであると同時に、世界を変えるクリーンなエネルギー源になりうるものだ。 その水素が漏れ出ているところが見つかったと、2024年2月8日付けで学術誌「Scien

    大量に噴出する水素ガスを発見、世界を変えるエネルギー源に?
  • 米国人さえ嫌う「チップ」の習慣、なぜなくならないのか

    南北戦争後の米国で習慣化したチップ。そこには、賃金を低く抑えたいという雇用者の意図もあった。反対する声もすぐに上がったが、チップはあらゆる反発を生き延びてきている。(PHOTOGRAPH BY THOMAS DASHUBER, VISUM CREATIVE/REDUX) ここ数年間で、米国のチップ事情は複雑になっている。タッチスクリーンが浸透したことで、コーヒー1杯からチョコレートバーまで、あらゆるものに18%、20%、22%といったチップを支払いやすくなったからだ。一方で、著名なレストランの店主たちが先頭に立って、チップを廃止しようとしているという報道もある。今、チップの習慣は大きな節目に差しかかっているようだ。 ただし、米国のチップの歴史には、これまでにも大きな節目のようなものがたくさんあり、チップはそのすべてを生き延びてきた。米国にチップを持ちこんだのは、南北戦争後に、世界を旅行した

    米国人さえ嫌う「チップ」の習慣、なぜなくならないのか
  • 米国人さえ嫌う「チップ」の習慣、なぜなくならないのか

    南北戦争後の米国で習慣化したチップ。そこには、賃金を低く抑えたいという雇用者の意図もあった。反対する声もすぐに上がったが、チップはあらゆる反発を生き延びてきている。(PHOTOGRAPH BY THOMAS DASHUBER, VISUM CREATIVE/REDUX) ここ数年間で、米国のチップ事情は複雑になっている。タッチスクリーンが浸透したことで、コーヒー1杯からチョコレートバーまで、あらゆるものに18%、20%、22%といったチップを支払いやすくなったからだ。一方で、著名なレストランの店主たちが先頭に立って、チップを廃止しようとしているという報道もある。今、チップの習慣は大きな節目に差しかかっているようだ。 ただし、米国のチップの歴史には、これまでにも大きな節目のようなものがたくさんあり、チップはそのすべてを生き延びてきた。米国にチップを持ちこんだのは、南北戦争後に、世界を旅行した

    米国人さえ嫌う「チップ」の習慣、なぜなくならないのか
  • 【動画】ホホジロザメをソロで狩るシャチ、初の報告、2分の早業

    ホホジロザメを仕留めて肝臓だけを取り出すシャチの「スターボード」。2分以内にすべてをやってのけるという信じられないパワーと戦略を披露した。(字幕は英語です) サメの肝臓を外科手術のように取り出すことですでに有名なシャチ(Orcinus orca)が、新たな技を隠していた。なんと、自然界で最も恐ろしい捕者のひとつであるホホジロザメ(Carcharodon carcharias)をシャチが単独で仕留めたという初めての科学的な報告が、2024年3月1日付で学術誌「African Journal of Marine Science」に掲載されたのだ。(参考記事:「【動画】サメの胸を正確無比に切り裂き、肝臓だけをべるシャチ」) その映像は2023年6月に、南アフリカのモーセル湾で撮影された。いつもはケープタウン近くで血縁関係のある「ポート」という名のシャチとともに狩りをする「スターボード」が、体

    【動画】ホホジロザメをソロで狩るシャチ、初の報告、2分の早業
  • 毎朝すっきりと目覚めるために、大事なことを専門家に聞いてみた

    起床時に頭がぼんやりする人は多い。体を目覚めさせるには日射しが重要だと専門家は言う。グリーンランドのスキョルダンケンで朝を迎えたこのハイカーも、それを実感したことだろう。(PHOTOGRAPH BY ANDY MANN, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 毎朝、ベッドから元気よく飛びだす人もあれば、やっとの思いでのろのろ起きだす人もいる。朝型の人をうらやましく感じる私たちが、もっと楽に起床できる方法はないのだろうか。 朝になると、脳は睡眠から覚醒状態に移行しなければならない。「起きてから脳がいわばオンライン状態になるまでに、少し時間がかかるのです」と、米オレゴン健康科学大学の睡眠・時間生物学・健康研究所のアンドリュー・マックヒル所長は説明する。脳の起動中は、頭がもうろうとして混乱を感じることがある。 マックヒル氏によれば、これは「睡眠慣性」または「睡眠酩酊(めいてい)」と

    毎朝すっきりと目覚めるために、大事なことを専門家に聞いてみた
  • なぜイヌにはヒト以上に癒されるのか、「会話」は特に有益、研究

    ロシアのベリョゾボの歩道で、氷点下の中、コートの中にイヌを入れて歩く男性。ストレスの多い状況下では、ヒトよりもイヌのほうが助けになることが多くの研究で示されてきている。(PHOTOGRAPH BY GERD LUDWIG, NAT GEO IMAGE COLLECTION) プレッシャーがかかっているとき、パートナーや友人といるよりも、愛犬といるほうがリラックスできると感じたことがあるなら、それはあなただけではない。 イヌを飼っている人がストレスの多い状況に直面したとき、飼いイヌがそばにいると、飼い主の体が生理的に反応しにくくなる傾向があることが、多くの研究によって明らかになっている。近年、飼いイヌが癒しを与えたり、飼い主のすり減った神経を穏やかにしてくれたり、良い聞き手になったり、その他の貴重なサポートを提供したりする多くの方法が複数の研究で示されている。 「私たちの友人であるイヌは、予

    なぜイヌにはヒト以上に癒されるのか、「会話」は特に有益、研究
  • 太陽系の第9惑星が見つかるかも、超巨大な“怪物望遠鏡”が挑む

    米SLAC国立加速器研究所で、完成の最終段階に入ったベラ・C・ルービン天文台のカメラ。189個のセンサーを持ち、32億画素の写真を撮影できる世界最大のデジタルカメラだ。(PHOTOGRAPH BY CHRISTIE HEMM KLOK) 地球上から無数の望遠鏡が夜空を観測しているにもかかわらず、地球の周辺にはいまだに姿がとらえられていない未知の天体が数多く存在している。 しかし間もなく、それが変わろうとしている。南米チリに建設中のベラ・C・ルービン天文台(VRO)は、これまで知られていなかった太陽系の大部分を明らかにし、天文学に進歩と革命をもたらすことが期待されている。驚異のエンジニアリングとソフトウェア、科学的な創意工夫から生まれたVROの目的は一つ。夜空全体を丸ごと記録することだ。 確認される小惑星の数は、VROの運用が開始された直後に急増すると予測されている。1801年に最初の小惑星

    太陽系の第9惑星が見つかるかも、超巨大な“怪物望遠鏡”が挑む
  • 「湖水爆発」で数百万人が犠牲の恐れ、時限爆弾のようなキブ湖

    ルワンダとコンゴ民主共和国にまたがるキブ湖。そのユニークな地質的特徴により、湖深くに膨大な量の二酸化炭素とメタンガスが蓄積しており、湖岸に住む数百万人の命を危険にさらしている。(PHOTOGRAPH BY ROBIN HAMMOND, NAT GEO IMAGE COLLECTION) ルワンダとコンゴ民主共和国にまたがる緑豊かな渓谷にあるキブ湖は、見事な崖に囲まれている。湖上では漁師たちが小舟を浮かべ、歌に合わせて櫂(かい)を揃えて漕ぎながら、その日の料を捕っている。だが、湖の深部は、そんなのどかさとは無縁の世界だ。 キブ湖は地質学的に特異な多層湖で、深い層は蓄積した二酸化炭素とメタンで飽和状態にある。このような湖は世界に3つしかない。残りの2つはカメルーンのニオス湖とマヌン湖で、どちらも過去50年の間に湖水爆発を起こして致死的なガスの雲を噴き上げ、人間や動物を窒息死させた。 1986

    「湖水爆発」で数百万人が犠牲の恐れ、時限爆弾のようなキブ湖
  • 観測史上最も明るい宇宙の爆発現象を検出、1万年に一度の幸運

    観測史上最も明るいガンマ線バーストによって輝いた銀河系の塵(ちり)の環。X線観測衛星XMMニュートンが捉えた。(IMAGE BY XMM-NEWTON/M. RIGOSELLI (INAF)/EUROPEAN SPACE AGENCY/SCIENCE PHOTO LIBRARY) 協定世界時2022年10月9日の午後1時17分(日時間午後10時17分)、フェルミ・ガンマ線宇宙望遠鏡の検出器にガンマ線の波がどっと押し寄せた。 のちに「BOAT(the brightest of all time、史上最も明るい)」、正式には「GRB 221009A」と呼ばれることになるガンマ線バーストが検出された瞬間だったが、米航空宇宙局(NASA)の通信衛星の不具合により、研究者はすぐに気づかなかった。 その約1時間後、別のガンマ線バースト観測衛星ニール・ゲーレルス・スウィフトが、空の同じ場所で明るいX線

    観測史上最も明るい宇宙の爆発現象を検出、1万年に一度の幸運
  • 見たことがないゾウを、中世の画家はどう描いたのか?

    1250年ごろにロンドンで制作された「ロチェスター動物寓話集」の挿絵。戦象に乗った騎士がウマに乗った敵を撃退し、その下では、ラッパのような鼻を持つゾウが戦っている。中世ヨーロッパには、物のゾウを見たことのある芸術家はまれで、その結果、現在も私たちを魅了する多彩なゾウが生み出された。(IMAGE VIA THE BRITISH LIBRARY) 中世ヨーロッパの挿絵画家にとって、ゾウのような見たこともない動物を描くことは、人々の道徳観をつくり上げる仕事の重要な一部だった。 最も重要なのは、それらの動物がキリスト教の精神から何を表しているかということだった。ライオンは強さや勇気という美徳、ヘビとその毒は罪といったように。 このような描写は、聖書の物語とともに、特別な装飾写に登場した。その中には、16世紀に印刷が主流になる前に手作業で制作された動物寓話(ぐうわ)集も含まれる。 そして、中世ヨ

    見たことがないゾウを、中世の画家はどう描いたのか?
  • 解説:インドの月探査機チャンドラヤーン3号、なぜ南極に着陸?

    月周回衛星「ルナー・リコネサンス・オービター」から送られてくる画像をつなぎ合わせると、月の南極の険しい地形と影になったクレーターが確認できる。(MOSAIC BY NASA/GSFC/ARIZONA STATE UNIVERSITY) 5週間の旅を終え、インドの宇宙船「チャンドラヤーン3号」は月面への降下を開始した。垂直の着陸姿勢を取ると、約140メートル上空でホバリングした後、2つの大きなクレーターにはさまれた埃っぽい台地に降り立つ。 「インドは月にいる」。8月23日水曜日、インド、ベンガルールの宇宙管制センターで歓声を挙げる人々に向かって、インド宇宙研究機関(ISRO)のS・ソマナス長官はそう宣言した。 ソ連、米国、中国に続き、インドは月面着陸を成功させた4番目の国、そして謎に満ちた月の南極を訪れた最初の国となった。 「インドの仲間たちが着陸を成功させたのは大変喜ばしいことです」と、米

    解説:インドの月探査機チャンドラヤーン3号、なぜ南極に着陸?
  • 1