日本最古の歌集である万葉集には、恋の和歌が数多く収められていることをご存知でしょうか? そこで今回は、当時のモテ男として数多くの女性と恋の駆け引きを演じた、奈良時代の貴族・大伴家持(おおとものやかもち)の歌をご紹介! 万葉集研究家で『女と男の万葉集』の著者である桜川ちはやさんに、とっておきの和歌を厳選して頂きました。 家持は、年の差を越えた“一途な愛”を、次のように歌っています。 ------ 百歳(ももとせ)に 老い舌出でて よよむとも 我は厭(いと)はじ 恋は増すとも (巻4-764 大伴家持) ≪訳≫ 「百歳になって、舌が出て老いて腰が曲がってよぼよぼになっても、私はあなたを嫌ったりはしません。恋は、増す一方ですから」 ------ 「これは、作者の大伴家持が10歳以上も年上の紀郎女(きのいらつめ)に贈った歌です。じつはすでに一度、安貴王(あきのおおきみ)のもとに嫁いでいた紀郎女。夫