うどんといえば、香川の讃岐地方が有名。しかし、そばのイメージが強い関東にも、ご当地うどんがあり、進化を続けている。東京の多摩地域から埼玉西部に広がる武蔵野台地の一帯は稲作に適さず、小麦の生産が盛んだったことから、独自のうどん文化が育まれた。地域や店によって名称やスタイルは異なるが、茶色がかった太い麺は、コシが強くてパワフル。温かいつけ汁が添えられ、しっかりかんで食べるのが特徴だ。(本江希望) 温かいつけ汁で… 多摩地域の北部に位置する東京都武蔵村山市は、都内で唯一、鉄道駅がない市だが、江戸時代からこの地で食べられてきた「村山かてうどん」の店が点在し、遠方からもファンが訪れるうどんの名所でもある。 冷水でしめたうどんに「かて(糧)」と呼ばれるゆでた地場野菜などを添え、温かいしょうゆ味のだし汁につけて食べるのが特徴。「村山うどんの会」の会長代行、藤本ゆみ子さん(50)によると、元々は農家の日常