被害額が少なかったり、訴訟の負担が重かったりして、泣き寝入りしてしまうことが多い消費者被害を一括して救済するため、消費者庁は、特定適格消費者団体による訴訟代行の手続きに関する新法「集団的消費者被害回復法案」(仮称)を今国会に提出する方針を固めた。 施行は2013年度以降となる見通し。 救済対象は、被害額数万〜数百万円のトラブルを抱える消費者。英会話教室やエステで入会手続きをしたものの、途中で解約しても授業料や申込金の大半が返金されなかったり、ネット通販で購入した商品が粗悪品なのに代金返還に応じてもらえなかったり――などのケースが想定される。 まず、新法に基づき、適格消費者団体の中から特定適格消費者団体を認定。これらの団体が消費者の訴えに基づいて業者に損害賠償請求訴訟を起こし、賠償を認めた判決が確定すると、インターネットなどで周知する。これを受け、同じ業者とのトラブルを抱える消費者が同
メキシコから覚醒剤約6キロを密輸したとして、覚醒剤取締法違反(営利目的密輸)などに問われ、1審・東京地裁の裁判員裁判で無罪判決を受けた同国籍の無職ガルシア・ルイス・マウリシオ被告(35)の控訴審判決が8日、東京高裁であった。 小川正持裁判長は「被告には覚醒剤を密輸するという故意があり、指示を出した犯罪組織の関係者との共謀も認められる」と述べ、1審判決を破棄し、懲役12年、罰金600万円(求刑・懲役15年、罰金800万円)を言い渡した。 最高検によると、高裁が裁判員裁判の全面無罪判決を破棄し、有罪としたのは2例目。 被告は昨年9月、メキシコの犯罪組織から日本で覚醒剤入りの荷物を受け取るよう指示されて来日し、被告宛てに送られた荷物を受け取ろうとしたとして起訴されたが、1審判決は「被告が犯罪組織の関係者から、荷物の中身が覚醒剤と知らされていたとは認められない」として共謀を否定した。
1966年に静岡県旧清水市(静岡市清水区)で4人が殺された「袴田事件」の第2次再審請求で、弁護側が証人尋問を申請した70代男性を巡り、静岡地検が申請に反対する一方で先月、男性を電話で呼び出して調書を作ろうとしていたことが分かった。察知した弁護団の批判を受け、地検は呼び出しを撤回した。専門家は「証人に不当なプレッシャーをかける不公正なやり方だ」と指摘している。 男性は、袴田巌死刑囚(75)が犯行時にはいたとされるズボンの製造会社元従業員。弁護団は「小さすぎて袴田死刑囚の物ではない」と主張、冤罪(えんざい)の根拠の一つに位置づけている。昨年12月の証拠開示で、ズボンの「サイズ」だと確定判決で認定された表示が「色」を示すと判明したことから、ズボンについて男性の証人尋問を弁護団は申請。地検は今年5月の意見書で「必要ない」と反対、尋問は実現していない。 ところが地検は先月21日に男性に電話、弁護
無期懲役刑の受刑者が昨年末段階で、戦後最多の1796人になったことが法務省のまとめで分かった。昨年1年間に初めて仮釈放された無期受刑者は7人で、その7人の平均受刑期間は35年3カ月と戦後最長だった。無期懲役刑の「終身刑」化が進んでいる実態が改めて浮かんだ。 同省保護局によると、無期受刑者は昨年1年間で新たに50人が服役を開始。獄死者は21人で、仮釈放許可は9人にとどまった。うち2人は過去にいったん仮釈放されたものの、再犯や保護観察の順守事項違反で仮釈放を取り消され、再度の受刑を経て再び仮釈放されたケースだった。 新たに仮釈放を許可された7人のうち、最短で刑務所を出たのは強盗致死傷罪で服役していた50代の受刑者で、受刑期間は27年3カ月間。最長は殺人罪で服役していた80代の受刑者で、服役期間は47年9カ月だった。 一方で、強盗致死傷と放火の罪で服役している70代の受刑者は、受刑期間が6
レンタルCD店からCDを繰り返しだまし取ったとして、静岡県警清水署は28日、同県焼津市石津、介護職員坂野恵美子容疑者(45)と、長男でトラック運転手の仲川隆平容疑者(21)を詐欺の疑いで逮捕した。 2人は複数の知人男性と養子縁組を結んでは解消し、2008年12月からの約10か月間に名字を計8回変更。その度に書き換えた運転免許証などを使って店に会員証を何回も発行させてCDをだまし取っていたといい、同署で詳しく調べている。 発表によると、両容疑者は共謀し、2009年10月4日午後10時頃、静岡市清水区押切のレンタルCD店で、返却するつもりがないのにCD10枚(約2万2000円相当)を借り、そのままだまし取った疑い。 捜査関係者によると、坂野容疑者らは北海道や静岡県島田市、同県藤枝市に住む複数の知人男性を利用して養子縁組を繰り返していた。 店でCDを借りたまま返さず、いったんは店の返却延
検察官を補佐する「検察事務官」に、大学生の就職先として人気が高まっている。公務員志望者が増える中、かつては高校卒業者が大半を占めていた採用枠に、有名私大などの大学生が殺到。検察事務官が登場する人気テレビドラマの影響などで、仕事そのものに魅力があると話す学生がいる一方、合格の保証がない司法試験に賭けるより、検察官への道もある内部昇任制度に着目する学生も。不況の影響で厳しい就職活動を強いられ、早く安定した職に就きたいという本音もうかがえる。 ■司法試験を受けなくても検事に… 大阪高検によると、管内6地検(近畿2府4県)では平成15〜21年度、毎年34〜47人の事務官を採用。大卒者が大半を占める国家公務員II種と、高卒者が中心の同III種の割合は、15、16両年度はII種がやや多い程度だったがその後急伸し、20、21両年度は2年連続でII種が約8割になった。 II種採用者の出身大学は「関関
「被害者の冥福を心から祈って、今後の生活を送って」−−。猪名川町の民家で義姉を殺害したとして、殺人罪に問われた浜田順子(よりこ)被告(68)の裁判員裁判は3日、神戸地裁で全国で初めて執行猶予付き判決が出た。佐野哲生裁判長が説諭すると、浜田被告は涙ながらに「ありがとうございました」と頭を下げた。一方で、公判中の証拠の扱いなどについて、裁判員経験者の記者会見では課題も指摘された。 会見には裁判員6人と補充裁判員3人全員が、顔を明かしての写真撮影を含めて取材に応じた。検察側が証拠提出した被害者の遺体写真について、西宮市の女性(64)は「見るのは嫌だったが、必要だと思った」と答える一方、尼崎市の会社役員、山崎健さん(59)は「写真を見るには抵抗があり、必要がないと思い見なかった」と話した。証拠提出された精神鑑定書については、少なくとも2人が「読んでいない。『心神耗弱』の言葉などは、裁判官の説明で
宇都宮地裁で行われている殺人・死体遺棄事件の裁判員裁判で2日、弁護士2人が被告役と被害者役となり、実際に殴り合って事件の状況を再現した。 裁判では、中国籍で住所不定、整体師の付佳男被告(26)が今年3月、知人の中国人男性(当時30歳)を包丁で刺して殺害し、遺体を栃木県那須塩原市のため池に捨てたとして殺人・死体遺棄罪に問われている。 弁護士2人は、被告人質問の中で、付被告に確認しながら、包丁を持つ前に口論から殴り合いになった場面を再現。被害者役の高田直之弁護士が、被告役の室井淳男弁護士のあごや頭をこぶしで数回殴り、室井弁護士が高田弁護士の腹を殴り返した。法廷には殴打の音が響き、裁判員も驚きの表情を浮かべた。 室井弁護士は閉廷後、「被告が先に殴られ、必死になって被害者に反撃する様子を感覚的に裁判員にわかってもらう狙いがあった」と説明した。一方、宇都宮地検の高崎秀雄次席検事は「けんかの状況
トヨタ自動車は、自動車レースの世界最高峰、フォーミュラワン(F1)から今年限りで撤退する方針を固めた。4日に臨時取締役会を開いて正式決定し、豊田章男社長が東京都内で会見して発表する。トヨタは02年にF1に参戦。当初は12年まで継続する方針を示していたが、世界不況により2期連続の赤字となる見通しで、これ以上の費用負担は難しいと判断した。 F1を巡っては、ホンダも昨年限りで撤退しており、日本の自動車メーカーが完全撤退することになる。 F1参戦は、運営費や車両製造費などで年間数百億円かかるとされる。トヨタは国内外の新車販売支援策などで業績は最悪期を脱したとはいえ、依然として膨大な過剰生産能力を抱えており、5日に発表する09年9月中間連結決算も営業赤字となる見通し。トヨタは7月、傘下の富士スピードウェイ(静岡県小山町)でのF1開催から昨年限りで撤退することを表明したが、9月中間決算で黒字になっ
パソコンや携帯電話の交流サイト「ミクシィ」上で人気のゲーム「サンシャイン牧場」のシステムに不具合があり、クレジットカードでアイテムを購入した利用者の電話番号とメールアドレス最大約4200人分が第三者によって取得可能な状態になっていたことが2日、明らかになった。 同ゲームは230万人が利用するほどの人気で、ミクシィは「トラブルを重く受け止めている」として、今後、審査制度を見直す方針。 ミクシィによると、トラブルがあったのは10月21日〜23日。 同ゲームは、ミクシィ上で会員が利用できるが、実際に制作・運営しているのは中国のゲーム会社「リクー・メディア」。 画面上に自分の「農園」や「牧場」を作って、トマトやナスなどを植えて収穫したり、ニワトリやヤギなどの動物を育てたりするゲームで、8月末にスタート。 最初はすべて無料で遊べるシステムだったが、10月21日から、有料の特別アイテムを使え
乗客106人が犠牲となった2005年4月の福知山線脱線事故で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(当時、現運輸安全委員会)の山口浩一・元委員が、JR西日本の山崎正夫前社長(業務上過失致死傷罪で在宅起訴)の求めに応じ、事故調査や捜査で焦点となった「自動列車停止装置(ATS)があれば事故を防げた」という文言を報告書から削除するよう委員会審議の中で要請していたことが25日、分かった。 山口元委員は、山崎前社長側から飲食接待を受け、新幹線の模型などの手土産も受け取っていたほか、調査状況や報告書案も同社側に漏らしていた。 元委員は旧国鉄出身で、01年10月から、事故の調査報告書が公表された後の07年9月まで事故調委員を務めていた。 安全委によると、元委員は2006年5月以降、5回程度、前社長から接触を受け「ATSに関する部分は『後出しじゃんけん』なので、表現を和らげるか、削除してほしい」と要請
中井洽国家公安委員長・拉致問題担当相は17日、警察庁で就任会見を開き、取り調べの全過程を録音・録画する可視化を民主党のマニフェスト(政権公約)通り実施すると述べた。その上で「取り調べ当局にとって犯罪摘発率を上げ、スピード化できる武器を持たせてあげないと、一方的な全面的可視化だけでは済まない」とも述べ、おとり捜査や司法取引などの導入を前向きに検討する意向を示した。 おとり捜査は、捜査当局などが相手に身分や意図を隠して犯罪実行を働き掛け摘発する手法。司法取引は、捜査当局が容疑者らの協力と引き換えに刑や罪状を減免する制度で、中井委員長はこれらについて「日本にはなじまない」との懸念も示しつつ、「当局に幅広い権限を持たせなければ、治安に対する要望は満たされない」と話した。 【関連ニュース】 ・ 国の出先機関を原則廃止=地方との協議「早く法制化」 ・ 中小企業の支援万全に=直嶋経産相 ・
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く