2012年9月の尖閣諸島国有化に伴う中国の反日暴動から約2年が過ぎ、「尖閣諸島が領土紛争の地であって本来中国のものである」ことを国際的に印象づけようとする公船の侵入も半ば常態化してしまった。のみならず、同じ行為をベトナムやフィリピンにも振り向け、凄まじい緊張が引き起こされたことは記憶に新しい。 強まる中国の覇権志向 したがってこれは、単に中国が日本との歴史的関係に強烈な不満を感じて抗議し、「中国の正しい立場」を日本人にも理解させる云々というものではない。中国が、既に強大化した自国の都合に応じて周辺地域を含む秩序を変え、中国が主導し圧倒する地域・世界秩序をつくろうとしているのである。 習近平政権が掲げる「中国夢」外交の本質は、中国の超大国化・覇権国家化である。今年に入って繰り返されている「アジア人によるアジア人のためのアジア」という表現や、アジア開発銀行をよそに新たにアジアインフラ投資銀行を