対米関係をおろそかにして対中関係を重視した政権は短命に終わることが多い。中国主導のAIIBに参加したり、中国も出資する原発を建設しようとするなど、キャメロン前政権時代に経済優先で親中に舵を切ったイギリスも、いま軌道修正を迫られている 安倍晋三首相は先の参院選で快勝し、宿願の憲法改正に向けて大きく前進した。戦後日本の長期政権を振り返ると、いくつかの共通項がある。佐藤栄作、中曽根康弘、小泉純一郎、そして安倍首相といずれも親米政権だ。次に倒閣運動を起こす強力なライバルが党内に見当たらない。そして参院自民党を牛耳るドンの支持を得ていることだ。第3の要件は2012年に再起を果たした第2次安倍政権から消失した。安倍首相1人に権力が集まり、官邸主導が強まっているからだ。 民主党の鳩山由紀夫元首相を例に上げるまでもなく、対米関係をおろそかにし、対中関係を重視した政権は必ずと言って良いほど短命に終わる。