がんの治療法が確立したとされる日本でも、よりよい治療を求め、医療界をさまよう「がん難民」が生まれている。それはなぜなのか。がん研有明病院放射線治療科副医長の加藤大基医師、さぬき診療所院長の讃岐邦太郎医師、日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授の勝俣範之医師、さらにがん体験者の大久保淳一さんが集まり、意見を交わした。 ──「治療方針に悩んだり、よりよい治療をしてくれる医師や病院を探し求めたりして、途方に暮れながらさまよう」。民間シンクタンク「日本医療政策機構」の調査(2006年)によれば、そうした「がん難民」は推計約68万人いるといいます。科学的根拠に基づいた標準治療が確立している日本で、「途方に暮れる」がん難民が生まれるのはなぜでしょう。 加藤:がんを発症するのは人生の一大事です。ですから、ベストの方向を見つけ出す というのは当然、必要な過程だと思います。ただ問題は、そこから先。途方に