アンデルセンの『人魚姫』についてはだれでもご存知なことだろう。賛否両論を呼んだディズニー映画『リトル・マーメイド』の原作である。 しかし、その『人魚姫』に世間では知られた悲劇的な結末の「続き」があることまで知っている人はどのくらいいるものだろうか。 完訳 アンデルセン童話集 1 (小学館ファンタジー文庫) 作者:いたやさとし 小学館 Amazon べつだん、「続編」という意味ではない。そうではなく、そもそも世間的に認知されている『人魚姫』の物語は終盤の描写がカットされたシロモノなのだ。 原典のクライマックスでは、人魚姫はあわとなって消え去ったかと思われたそのとき、空気の精ともいうべき不死の存在と化す。 その時、お日様が海からのぼりました。その光は、死のように冷たい海のあわを、おだやかに暖かく照らしました。人魚姫はすこしも死んだような気がしませんでした。キラキラ光るお日様の方を仰ぎますと、な
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