※先に書いておきますが、1万5千字近くあります 福島における甲状腺がん検診まわりの議論の流れで、2021年に日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌に、過剰診断概念に関する特別寄稿が掲載された。 当該寄稿における主張の概要は次のようなものである。 病理医は過剰診断を誤診の意味で用いてきた その定義にしたがい、病理診断コンセンサス会議のメンバーは、過剰診断と過剰治療の症例は無かったと報告した 福島における検診を過剰診断と指摘する主張がある その主張は疫学的な意味における過剰診断を強調するものである 病理医の立場から、これを過剰診断と呼ぶのは不適切であり、過剰検査と呼ぶべきである これは、専門家によって医学における他分野での術語の用法変更が要求されたものであり、議論における重大な提言と捉えられる。そこで本記事では、坂本らの論考について詳細を検討する 以下、当該論考を単に寄稿と表現する。学会誌に掲載された