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ブックマーク / interdisciplinary.hateblo.jp (10)

  • 『過剰診断(overdiagnosis)の定義と過剰手術(oversurgery)/過剰治療(overtreatment)の用法:病理医と疫学者の見解の差異』についての考察 - Interdisciplinary

    ※先に書いておきますが、1万5千字近くあります 福島における甲状腺がん検診まわりの議論の流れで、2021年に日内分泌・甲状腺外科学会雑誌に、過剰診断概念に関する特別寄稿が掲載された。 当該寄稿における主張の概要は次のようなものである。 病理医は過剰診断を誤診の意味で用いてきた その定義にしたがい、病理診断コンセンサス会議のメンバーは、過剰診断と過剰治療の症例は無かったと報告した 福島における検診を過剰診断と指摘する主張がある その主張は疫学的な意味における過剰診断を強調するものである 病理医の立場から、これを過剰診断と呼ぶのは不適切であり、過剰検査と呼ぶべきである これは、専門家によって医学における他分野での術語の用法変更が要求されたものであり、議論における重大な提言と捉えられる。そこで記事では、坂らの論考について詳細を検討する 以下、当該論考を単に寄稿と表現する。学会誌に掲載された

    『過剰診断(overdiagnosis)の定義と過剰手術(oversurgery)/過剰治療(overtreatment)の用法:病理医と疫学者の見解の差異』についての考察 - Interdisciplinary
  • 良性腫瘍の余剰発見に至るプロセスと、ラベリング効果 - Interdisciplinary

    私が余剰発見の例としてちょくちょく採り上げるのが、肝血管腫です。 肝血管腫とは、血管の集まった良性の腫瘍で、健診(健康診査)における腹部エコーにて、結構高い割合で発見される(保有割合が高い)事が知られているようです。 文献によると、エコーを受けた100人に1人程度は発見されるくらい保有割合が高いそうですが、それによる症状が発現する事は、かなり少ないとあります。ですから、通常はそのまま経過観察となる事が多いと言います。 もしこの病気が発見されて、処置もせず症状が出ないまま他の原因で亡くなったとすれば、それは、肝血管腫の余剰発見(過剰診断)であると看做せます。また、肝血管腫は良性腫瘍ですので、もっと一般的な表現をとれば、良性腫瘍の余剰発見であるとも言えるでしょう。 良性腫瘍であり、症例がよく見つかる事、また、症状がほとんど出ないので、診断されても良性腫瘍が見つかったと認識出来、医師も、そこまで

    良性腫瘍の余剰発見に至るプロセスと、ラベリング効果 - Interdisciplinary
  • 【メモ】複数回検査の結果 - Interdisciplinary

    メモなので、コメント欄も含め、追記的に書き込んでいきます news.yahoo.co.jp 28日にRT-PCR陽性→30日に3カ所でPCR検査を受け全ての検査結果が陰性。との事。 無症状者で、周りに感染者がいたのでは無いのに、数日間で4回の検査をおこなうというのは、あまり例が無いのではと思います。この結果をどう考えるか。 医師団は結果と無症状や経過を総合的に考慮し、最終的な評価を誤陽性としたようですが、単純に検査結果のみについて検討するのも、興味深い所と思います。 理論的な可能性としては、正陽性→誤陰性―誤陰性―誤陰性 であった事も、当然考えられます。むしろ、無症状者への検査の感度は低いと前提するならば、そのほうが自然と言うか、当然とも言えます。実績としての特異度の高さなども考え併せると、実は誤陰性が連発されたと想定するのは、別におかしな事では無いでしょう(非保有者に陽性が出る蓋然性が極

    【メモ】複数回検査の結果 - Interdisciplinary
  • 《偽陽性》などの言葉について - Interdisciplinary

    www.sponichi.co.jp 体操の内村航平選手が先日、新型コロナウイルス感染症に対する検査を受けて陽性になりましたが、昨日、結局は偽陽性であった旨の発表がなされました。 この報道を受け、偽陽性なる語が、いくらか話題になっています。その中で、偽陽性の意味合いがきちんと理解されていない場合もあるように見受けられますので、簡単に説明をします。 ❓偽陽性って聞いた事無い。最近作られた言葉なのでは 違います。偽陽性(false positive)は、古くから、検査に関する議論の文脈で用いられてきたものです。 たとえば、古い文献を探すと、1928年に既に用例が見られます↓ www.jstage.jst.go.jp 斯る強き偽陽性反應を呈した血清 ただ、同じ語でも微妙に意味合いが変化していく事もあるので、なるべくはっきりと現代的な意味で用いられているもので探してみます。それでも、1950年代の

    《偽陽性》などの言葉について - Interdisciplinary
  • 【メモ】オーバーシュート再び - Interdisciplinary

    新型コロナウイルス感染症まわりの話で、専門家会議によってオーバーシュートなる語が用いられ流布されましたが、いったいそれが何に由来する語なのか、疑問も呈されていました。 それに関連して、私は以前、感染症疫学方面での用例を調べてみました↓ この記事では、感染症疫学の論文等いくつかで使われている事から、そこから援用して、既存の用語(たとえば感染爆発)では捉え切れない現象を指すためにオーバーシュートを充てたのだろう、と推測しました。 そういう流れがあった訳ですが、今日、 ↑このサイト(日科学技術ジャーナリスト会議(JASTJ)のnote)内にあるQ&Aを見ていた所、 ↑このような個別Q&Aがありました。引用します。 4. これはサイエンスの質問ではないのですが、「オーバーシュート」は理論疫学では述語として使われているのでしょうか?" ここで質問者は、「オーバーシュート」は理論疫学では述語として使

    【メモ】オーバーシュート再び - Interdisciplinary
  • 診断シミュレータ(Excel版) - Interdisciplinary

    Excelで、診断シミュレータを作りました。 ファイル名 診断シミュレータ.xlsx ↓下部よりダウンロードしてください 感度特異度シミュレータ-例数入力版 使いかたは、4箇所の例数を入力するだけです↓ 例数入力 具体的なデータを入れてみましょう↓ 具体的なデータの入力 ※データは、 【PDF】http://plaza.umin.ac.jp/~spell/BTS_Diag6.4.pdfを参照しました セルに指標の名前をつけてあるので、確認しましょう↓ セルを選択すると、左上に指標名が表示されます Excelのトレース機能を使うと、指標同士の関係が視覚的に把握できます↓ トレース機能によって、指標同士の関係が解ります Excelのバージョンによっては、きちんと表示されない場合があります LibreOffice等でも開けますが、テーブル(ListObject)やデータバーの仕様が違ったりするの

    診断シミュレータ(Excel版) - Interdisciplinary
  • 《過剰診断(余剰発見)》と《偽陽性(誤陽性)》は違います - Interdisciplinary

    新型コロナウイルスによる感染症の議論に絡んで、検査に関する専門用語が話題に上っています。感度や特異度などですね。疾病の検査を受けるのは、私たち非医療者にとっても身近の事ですので、それにまつわる専門用語を理解するのは、とても大切だと思います。 さて、その流れにおいて、twitter上で、次のつぶやきが注目を集めていました(リツイート数と、いいね数で判断)。 ミナミのキャバ嬢からもらった、わかりやすい図をおいておきますね。 pic.twitter.com/ltqgwosLZc— ちんにい (@chinniisan) 2020年2月25日 これは、検査に関連する用語について、図によって説明されたものです。込み入った概念を、図を用いて解りやすく説明しようとするのは、大変良いと思います。ただ、惜しい事に、この図には、間違いがあります。記事では、それを説明します。 さて、ある集団(人口)に対し、何ら

    《過剰診断(余剰発見)》と《偽陽性(誤陽性)》は違います - Interdisciplinary
  • 論理学の本における「欠如モデル」の紹介 - Interdisciplinary

    意外な分野ので「欠如モデル」概念が紹介されているのを見ましたので、引用します。(強調は原文のまま)。 原発、遺伝子組み換え、医療、環境アセスメントなど科学技術の問題をめぐって、「欠如モデル」という方法がかつて優勢でした。欠如モデルとは、「素人(消費者、住民、患者など)は科学の知識が欠如していて何もわかっていないのだから、専門家が懇切丁寧に教えてやれば必ず理解してくれるはず」という見方です。専門家と素人との関係を科学知識の量といった一元的な尺度で固定し、無知ゆえに不安や反発を感じている素人に対してひたすら科学的知識の学びを要請し、専門家の見方に近づいてもらう。それで問題は解決する。欠如モデルにもとづくこうした対応法は、「パターナリズム」の一種と言えるでしょう。 しかし、科学的知識では割り切れない主観的な価値感情や、根拠はないがなんとなくいやな感じというような暗黙の経験知など、実践的な場では

    論理学の本における「欠如モデル」の紹介 - Interdisciplinary
  • マスクと感染症防御まわりの議論の観点 - Interdisciplinary

    医療者やマスメディアによる発信 マスクと感染症防御のはなしです。 医療者やマスメディアなどが関連の記事を出し、それが反響や議論を呼びます。たとえば私が最近読んだのは、次の記事です。 kaigyou-turezure.hatenablog.jp ↑開業医のかたによる、新し目の知見を参照しながらマスクの予防効果を検討した記事。 https://www.buzzfeed.com/jp/yutochiba/coronavirus-dr-iwatawww.buzzfeed.com ↑新型コロナウイルスに関する勉強会においての岩田健太郎氏(感染症内科医)による主張、の紹介。マスクへの言及あり。 www3.nhk.or.jp ↑NHKによる記事。色々の組織や機関による説明を引用しながら、マスクの感染予防効果を検討。 現在の知見 前節で紹介した記事で参照されているような研究含め、色々の知見を踏まえると、現

    マスクと感染症防御まわりの議論の観点 - Interdisciplinary
  • ゲーム依存対策に関する条例についての意見や主張を、書かない訳 - Interdisciplinary

    香川県の話。ここや前のブログを読んでおられるかたであれば、私がその問題について何か書くのではないか、と思ったかも知れません。 もちろん、興味はあるのですが、現在の所、書いていません。関連記事に はてブもつけていません。 理由は、難しいからです。関連する分野、考慮すべき事柄が広過ぎて、それをきちんと満遍なく押さえて上手く繋ぎ合わせ、それなりのレベルの主張に仕上げる事が、今の私にはリソース的に無理なのですね(たぶん、能力的には可能)。 ざっと考えるだけでも、下記のような論点があります。 依存とは何か ゲームとは何か ゲームによる依存がもたらす害はどのくらい深刻か ゲームは、それによる依存をどの程度引き起こすか(リスクと言う) ゲームの与える影響(好影響・悪影響ともに)に関する研究は、現状どのようであるか。古い研究による結果をそのまま適用して良いか(コンソールゲーム主体だった頃とは、構造がだいぶ

    ゲーム依存対策に関する条例についての意見や主張を、書かない訳 - Interdisciplinary
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