日本経済の条件は、東日本大震災によって一変した。 最大の変化は、電力不足による制約である。今年夏に電力が確実に不足するため、東京電力管内の電力使用量を25%程度圧縮するための方策が模索されている。 これは、今年夏だけで終わる問題ではない。原子力発電所の新設が難しくなったことを考えると、長期にわたって日本経済を束縛する可能性が高い。エネルギー価格の上昇は全世界的な問題だが、電力制約は日本が最も厳しい。省電力型経済構造への転換が、焦眉の急である。 日本以外の国では、電力の輸入や輸出が行なわれている(輸入国は、イギリス、イタリア、オランダ、スウェーデン、アメリカなど。輸出国は、スペイン、ドイツ、フランス、中国、カナダなど)。ところが、日本は地理的条件のために、電気を輸入することができない。それどころか、西日本と東日本とでの融通さえできない。電力不足は日本経済にとって強い足かせとなっている。