アミリは困惑する叶を無視して立ち上がり、小走りに寄って来た優美子を出迎えた。 「ごめ〜ん優美子、こんな時間に呼び出しちゃって」 合掌(がっしょう)して謝(あやま)るアミリを、優美子は優しく宥(なだ)めた。 「ううん、大丈夫。こちらこそごめんね」 叶は明後日(あさって)の方向に首を向けて、ふたりのやり取りを聞き流しながら水を飲んでいた。すると、アミリがあからさまな敵意を込めた口調で言った。 「それより、電話でも言ったけど見つけたよ、あんたを騙(だま)したカノウって最低野郎をね!」 「本当、に?」 半信半疑(はんしんはんぎ)な声音(こわね)の優美子を余所(よそ)に、アミリは自信満々に告げた。 「本当だって、あんたが言ってた特徴(とくちょう)、背は百八十無いくらいの痩(や)せ型、シングルのスーツを着ててちょっと格好良いって言うか気取ってる感じ、もうピッタリ! それに店で『カノウ』って名乗ったんだ
![ひとちがい #6 - こぶし探偵ともちん(松田悠士郎) - カクヨム](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/1cc7dcfaa90c9194be47763622dcf2c9eac84b39/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcdn-static.kakuyomu.jp%2Fworks%2F1177354054882145042%2Fogimage.png%3FmCt6hCVfC2apQXB_SY04OXcsC24)