翌朝、叶は頭を襲う鈍(にぶ)い痛みと共に目を覚ました。普段殆(ほとん)ど飲まない酒を、決して少なくは無い量を飲んだ所為で宿(ふつか)酔いになっていた。 アミリ達と別れた後にタクシーを拾って事務所に戻り、着の身着のままでベッドに倒れ込んだ為、ジャケットもスラックスも皺(しわ)が着いている。自業自得(じごうじとく)とは思いながらも、叶は舌打ちしつつ服を着替えてプライベートスペースを出て、給湯室(きゅうとうしつ)に入って棚(たな)の中からシェーバーを出して髭(ひげ)を剃(そ)り、ついでに冷蔵庫から水のペットボトルを取り出してその場でラッパ飲みした。頭を上げた拍子に後頭部を鈍痛(どんつう)が襲い、顔を顰(しか)めながら水をしまって給湯室を出た。 壁の時計を見上げると、既に午前十一時を過ぎていた。叶は欠伸(あくび)しながらプライベートスペースに戻り、脱いだジャケットのポケットから財布とスマートフォン
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