亡夫の遺志を継ぎ、長女とともに戦災記録誌を再版した岩切久仁さん=釜石市大町・桑畑書店 太平洋戦争末期、釜石市が米英軍による2度の艦砲射撃で甚大な被害を受けてから今年で76年を迎えた。8月8日、艦砲射撃による戦禍から逃れた故岩切潤さん(享年82)の体験談をつづった記録誌が市内の書店に並んだ。「伝えねばなんねんだ」。戦争体験者が減る中で、戦災の記憶を語り継ぐ大切さを口にしていた岩切さんの遺志を継ぎ、遺族が再版した。 記録誌は、2015年に岩切さんが自費出版した「戦後70年に想う かまいしの昭和20年-艦砲射撃を生き延びて」。艦砲射撃や避難した防空壕(ごう)での様子、疎開先での暮らしぶりなど当時釜石国民学校(現釜石小)5年生だった岩切さんの実体験を、艦砲射撃を受けた市内の風景などの写真や被弾図など資料を交え書き記している。 再版された「かまいしの昭和20年-艦砲射撃を生き延びて」 初版は800部