小泉政権のときのこと。拉致被害者が北朝鮮から帰国を果たす際、空港で拉致議連の会長代行・中川昭一は議員たちにこう呼びかけた。 「被害者の方々がタラップを降りてきても、我々は、しばらく遠慮しよう。家族と何十年ぶりに再会するんだ。そこに割り込むようなことは慎もう」 ところがチャーター機から拉致被害者が現れると、テレビに映り込もうとして多くの議員たちは駆け寄っていった。 そのなかに小池百合子もいた。小池はそんなふうにスポットライトの下に立ち続けようとしてきたのだ。 これは石井妙子『女帝 小池百合子』(文藝春秋)にあるエピソードである。本書は「カイロ大学卒、初の日本人女性」などの虚実入り交じる経歴や経験を自己宣伝しながら世を渡り、たくみに実力者に取り入りながら上昇していった小池の評伝である。
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