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自分でも気付かぬうちに、スティーヴ・アルビニは私の人生を変えていた。彼の特定の作品との出会いによって啓示を受け、人生の中にそれ以前と以後という明確な境界線が引かれたということでは全くない。それよりも彼の影響は、私の育った音楽世界の土壌に染み込んでそれを肥沃にしたものであり、そうとは知らない私が無意識に歩き回った風景そのものだったのだ。ようやく獲得し得た視野と意識によって振り返ってみると、私が通ってきた世界のすべてに彼の手が及んでいたことを思い知らされる。 世代的なことも関係している。1962年生まれのアルビニは、ちょうど1980年代にジェネレーションXが成人し始めた頃の音楽シーンで地位を確立し、彼の音楽とアティチュードはその世代の心に響く多くの特徴を体現していたのだ。 彼の作品は挑戦的で、パンクが退屈さに怒りをぶつける方法をさらに推し進めたものだった。彼自身の初期のビッグ・ブラックやそれ以
変幻自在のサウンドと型破りな実験精神で、ここ日本でも絶大な人気を誇るハイエイタス・カイヨーテがカムバック。引き続きBrainfeederからのリリースとなる3年ぶりの最新アルバム『Love Heart Cheat Code』を、「喜びでいっぱいのアルバムにしたかった」とネイ・パームは語る。バンド史上最大の危機を乗り越えた前作『Mood Valiant』を経て、最強の4人組がたどり着いた現在地とは? ネイとペリン・モスをZoomで取材した。 変人であることの自由 ─なぜアルバムのタイトルを『Love Heart Cheat Code』にしたのでしょうか? ネイ:「Love Heart Cheat Code」は最初、声に出したときの響きが気に入っていたの。私たちの創造的過程は直感的なものからスタートすることが多い。その後で、そこにある意味を見つけていく。ゲームでチート・コード(Cheat Co
1990年、突然の解散から34年の時を経て、奇跡の再結成と35年ぶりの来日公演をおこなった伝説のグループ、フェアーグラウンド・アトラクション。活動再開の地に選んだのは、バンドと特別な縁を持つここ日本。世界中のファン垂涎の奇跡の瞬間を捉えた、2024年6月27日の東京・SHIBUYA CLUB QUATTRO公演のオフィシャルライブレポートが届いた。 *Mikiki編集部 音楽っていいな、歳を重ねるのも悪くないことだなと心から思える、贈り物のような一夜だった。 人気絶頂にあった1990年、たった1枚のオリジナルアルバム『The First Of A Million Kisses』を残して突然解散してしまったフェアーグラウンド・アトラクション。その印象があまりにも鮮やかだったので、昨年12月、34年ぶりのリユニオンが伝えられたときには心底驚いた人も多かったはずだ(筆者もその1人)。実際、来日ツ
キッチンの一角に佇む折坂悠太の姿をとらえたアルバムジャケット。暮らしのワンシーンを切り取ったその写真からも伝わるように、コロナ禍のヒリヒリとした空気をまとった前作『心理』(2021年)から一転、ひさびさの新作『呪文』には穏やかで心地のいい風が吹いている。 昨年末に先行リリースされた“人人”(BS-TBSドラマ『天狗の台所』主題歌)で示されていたように、収録曲の半数には静かな歌の風景がゆったりと広がっている。その一方で、“凪”や“努努”にはsenoo ricky(Dr)、宮田あずみ(Cb)、山内弘太(Gt)を中心とする骨太なバンドのグルーヴが渦巻く。ラストを飾るのは希望に満ち溢れた“ハチス”。いずれの楽曲からも現在の折坂の好調ぶりが伝わってくる。 多様な歌の数々をまとめているのは、『呪文』という意味深なタイトルだ。2023年に音楽活動10周年を迎え、新たな10年へと歩み出した折坂が綴る生活の
ふつうの軽音部 クワハリ/出内テツオ <毎週日曜更新!最新3話無料>ちょっと渋めの邦ロックを愛する新高校1年生・鳩野ちひろ。新品のギターを背に、軽音部の門を叩くも――!? 超等身大のむきだし青春&音楽奮闘ドラマ、スタート! ※作品内使用楽曲はJASRAC申請中 [JC3巻9/4発売]
ガールズバンドクライを13話まで観た。感想は本文で書くとして、観終えて清々しい気持ちでツイッターを開いてたまたま流れてきたいくつかのツイートを読んで、なるほど納得できる批判も多かったがそれはそれとして「うるせえよ死ね!!!!!」とデカい声が出たのでnoteを書く。 かなり酷く酔っているのできっとめちゃくちゃな文章だろうし翌日や数日後に大きく書き直すとは思うがとりあえず公開します。まだ観てない人は読まないでください。 ガルクラ13話の何が問題だったのかガルクラ13話があの物語の流れの最後を締めくくる話として(それ以前の話の方向性の延長として)微妙だったかはさておき、変に感じられる展開だったのは部分的に認める。がやはり私はガールズバンドクライはガールズバンドクライがやりたいことを最後までやり通したと強く思う。そのことについて書く。 まずは問題点を整理しよう。私見の限り最も批判が多かったのは「結
親しい人の顔を覚えられなかったり、目の前にいる人の顔を識別できなかったりする「相貌失認」の人は、これまで考えられていたよりも多い可能性が研究で明らかになった。(PHOTOGRAPH BY BALLBURN_PHOTOGRAPHY, GETTY IMAGES) 伝説の霊長類学者ジェーン・グドール氏、俳優のブラッド・ピット氏、そして『妻と帽子をまちがえた男』の著者として知られる神経学者の故オリバー・サックス氏の共通点は何か? 答えは親しい人や有名人の顔を覚えられなかったり、見分けがつかなかったりする「相貌失認(そうぼうしつにん)」だ。 長年、相貌失認はまれな障害とされてきたが、2023年に学術誌「Cortex」に掲載された論文によれば、相貌失認の人はこれまで考えられていたよりも多い可能性があるという。この研究では、相貌失認の重さや症状は連続的で、その有無を単純に判定できず、使用する基準によって
森林において樹木が生育する土壌に特有の微生物の集まり(微生物叢)が落葉を効率的に分解していることを東京大学などの研究グループが野外実験で実証した。森林生態系の物質循環を担う微生物叢の働きに差があることを示しており、今後の森林保全において場所ごとに特有の微生物叢を保つことが重要だとしている。 森林生態系では、地面に落ちた樹木の葉が土壌中の微生物に分解され、分解の過程でできた栄養分を根から樹木が吸い上げて成長し、茂った葉がまた落ちて微生物に分解される――という、落葉と分解を伴う物質循環が起きている。落葉の分解速度については、「温度が高い方が微生物は活発に働く」「柔らかくて栄養分豊富な葉では分解が進みやすい」など、地域の気候や落葉自体の性質によって主に決まると考えられていた。 一方で、樹木が育つ場所(ホーム)はほかの場所(アウェー)より効率的に落葉を分解するという「ホームフィールド・アドバンテー
ブックオフの店舗(「Wikipedia」より) 複数のブックオフ店舗で、従業員による不正行為が発覚した。ずさんすぎる経理処理が背景にあるとみられ、余波は大きく広がる可能性がある。専門家は、「根本的な解決は難しいのではないか」との見方を示す。 中古本・中古家電などの買取・販売を行うチェーン「ブックオフ」を展開するブックオフホールディングスは6月25日、子会社が運営する複数の店舗で従業員が架空買い取りや在庫の不適切計上をするなど、現金を不正取得していた疑いが発覚したと発表。弁護士など外部の専門家による調査委員会を設置し、事実関係の調査や再発防止策の検討を行う。なお、調査のため、7月16日に予定していた2024年5月期決算の公表を延期するという。 この問題に対し、流通の専門家は「まだ調査中のため詳細は不明だが、架空取引は業界全体でよくみられる」と警鐘を鳴らす。 「おそらく、ブックオフで行われた手
精霊を統べる者 (創元海外SF叢書) 作者:P・ジェリ・クラーク東京創元社Amazonこの『精霊を統べる者』は、ネビュラ賞、ローカス賞、イグナイト賞、コンプトン・クルック賞と4冠に輝いた、アメリカの作家P・ジェリ・クラークの第一長篇&サイエンス・ファンタジーだ。物語の時代はまだ人種差別も女性差別も色濃く残る20世紀初頭。魔法と科学が融合した都市カイロを舞台に、伝説の大魔術師を名乗る何者かによって引き起こされた、魔術世界を揺るがす大事件を描き出していく。 僕はもともとこうした「科学と魔法が融合」したような世界観が大好物だから読む前からそうとうに期待していたのだけど、これが高まったハードルをやすやすと超えていくような作品だ。良い点はいくつもあるが、なんといっても舞台をジンが存在することによってヨーロッパ列強と肩を並べるに至ったという架空のエジプトに設定しているのが良い。著者は現在コネチカット大
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