国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で議論を呼んだ企画展「表現の不自由展・その後」の作品展示が八日、中止された。会場となっている名古屋市の市施設に郵便物が届き、破裂音がしたことから、市が施設の利用を十一日まで停止したためだ。詳細は不明だが、かりに開催への抗議であれば、許されない暴走だ。 展示は、名古屋市中区の市施設「市民ギャラリー栄」で六日に始まった。会場には昭和天皇の肖像を含む版画を焼く場面のある映像作品や、戦時中の慰安婦を象徴する「平和の少女像」などがあり、会期は十一日までだった。 不自由展は東京でも開催の予定だったが、街宣車の抗議で会場移転を余儀なくされ、開催のめどは立たない。大阪でも府立施設での開催が決まっていたが、施設の指定管理者が利用者らの安全確保を理由に使用の許可を取り消した。いずれも、憲法がうたう「表現の自由」の後退を物語る実例だ。 作品には政治的な意味合いも色濃く、