29年前、この地で多くの命が失われた。残された者が再起へ流した涙と汗。さまざまな人の励まし。私たちはそれらを受け止めた生き方をできているだろうか。命を守り、一人一人を大切にし、支え合う社会を築く。鎮魂の祈りがささげられる1月17日の朝、誓いを新たにしよう。 各地で自然災害の発生が相次ぐ。特に1月1日に石川県能登地方で起きた地震は、阪神・淡路大震災と同じ「震度7」。私たちの心も、大きく揺さぶられた。立ち尽くす被災者の姿は29年前と重なる。 災害をなくすことはできないが、積み重ねた経験と教訓を生かし、被害を減らすことはできる。次世代に受け継ぐ営みが重みを増す一方で、災害の記憶継承は「30年が限界」ともされる。壁を乗り越え、改めて体験を語り継ぐ意味を考えたい。 ◇ 「1・17」のきょう、神戸など各地の小中学校で、震災学習や防災訓練が実施される。 神戸市須磨区の鷹取中学校では、今回、新たなスタイル