ブックマーク / www.kobe-np.co.jp (167)

  • <社説>「予災者」へ/記憶継承「30年が限界」に挑む

    29年前、この地で多くの命が失われた。残された者が再起へ流した涙と汗。さまざまな人の励まし。私たちはそれらを受け止めた生き方をできているだろうか。命を守り、一人一人を大切にし、支え合う社会を築く。鎮魂の祈りがささげられる1月17日の朝、誓いを新たにしよう。 各地で自然災害の発生が相次ぐ。特に1月1日に石川県能登地方で起きた地震は、阪神・淡路大震災と同じ「震度7」。私たちの心も、大きく揺さぶられた。立ち尽くす被災者の姿は29年前と重なる。 災害をなくすことはできないが、積み重ねた経験と教訓を生かし、被害を減らすことはできる。次世代に受け継ぐ営みが重みを増す一方で、災害の記憶継承は「30年が限界」ともされる。壁を乗り越え、改めて体験を語り継ぐ意味を考えたい。 ◇ 「1・17」のきょう、神戸など各地の小中学校で、震災学習や防災訓練が実施される。 神戸市須磨区の鷹取中学校では、今回、新たなスタイル

    <社説>「予災者」へ/記憶継承「30年が限界」に挑む
  • <社説>女性ゼロ人事/岸田政権の本気度を疑う

    第2次岸田再改造内閣が発足し、副大臣26人と政務官28人が決まったが、女性はゼロだった。副大臣、政務官がすべて男性となったのは、自民党が政権復帰した2012年の第2次安倍内閣以降初めてのことだ。 女性閣僚は過去最多に並ぶ5人となったが、将来の閣僚候補を育てるためのポストでもある副大臣・政務官がこれでは、岸田文雄首相が掲げる「女性活躍」の気度を疑う。 首相は「適材適所でこのような老壮青、男女のバランスとなった。チームとして人選した結果」と説明した。だが副大臣と政務官の人選は、自民党の各派閥や公明党の推薦に基づくのが通例とされる。派閥のバランスを優先したのだろうが、女性ゼロの人事がまかり通る政権の体質の古さが露呈した。 そもそもの問題は、女性の国会議員が少ない点だ。 特に自民党は所属議員の女性割合が約12%とジェンダー平等で後れを取っている。ようやく6月に、女性議員割合を10年で30%に引き

    <社説>女性ゼロ人事/岸田政権の本気度を疑う
  • カネミ油症救済/次世代の認定見直し急げ

    1968年に起きた品公害「カネミ油症」を巡り、全国油症治療研究班(事務局・九州大医学部)が、認定患者の子や孫を対象にした調査で、先天性疾患の一つである口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)の発生率が高い傾向にあることが分かったと報告した。 この調査では昨年2月の中間報告で、頭痛、倦怠(けんたい)感、肌の不調を訴えた人がそれぞれ約4割に上ったとのデータが明らかにされている。今回の発表で、身体的な症状が子孫に及ぶ問題がさらにはっきりした。重大で深刻な健康被害である。 研究班の報告を受け、厚生労働省は「集まったデータ次第では、(認定基準の)改定に必要な有識者会議を開く可能性も出てくる」との認識を示した。しかし他の疾患も調べる必要があるとして、認定基準の改定には慎重な姿勢を崩していない。 認定患者の子や孫の多くは、油症特有の症状があっても患者認定されないケースが目立つ。国は次世代の被害救済を優先し、

  • 沖縄慰霊の日/住民の不安招く軍事強化

    沖縄県はきょう「慰霊の日」を迎える。1945年の太平洋戦争末期、「地獄を集めた」と語られる沖縄戦で、組織的な戦闘が終わったとされる日だ。日米で20万人以上が死亡し、うち約9万4千人を住民が占めたと推計されている。軍人・軍属を合わせると県民の4人に1人が犠牲になったことになる。神戸出身の島田叡(あきら)知事も行方不明になったままで、遺骨さえ見つかっていない。 激戦地だった糸満市摩文仁(まぶに)の平和祈念公園では、沖縄全戦没者追悼式が開かれる。新型コロナウイルス対策で2020年から規模を縮小していたが、今年は4年ぶりに一般参列者の入場が可能となる。地元の人たちとともに心から犠牲者を追悼し、平和への思いを深めたい。 同公園の「平和の礎(いしじ)」には今年、新たに365人の戦没者の名前が刻銘された。沖縄に向かう途中で撃沈された戦艦大和の乗組員295人も含まれる。沖縄を土防衛の「捨て石」にした軍の

  • 強制不妊報告書/政治の責任で救済を急げ

    旧優生保護法(1948~96年)下で障害者らに不妊手術が強制された問題を巡り、衆参両院が立法経緯や被害状況に関する調査報告書を公表した。2万4993人が手術を受け、「人同意なし」が65%を占めた。人間の命に優劣をつける極めて差別的な「優生思想」に基づく手術が、国策により推し進められた実態が改めて浮き彫りになった。 同法は「不良な子孫の出生防止」を目的に、議員立法により全会一致で成立した。尾辻秀久参院議長は「二度と繰り返されることのないように、われわれ一人一人が重く受け止めていかなければならない」と述べたが、被害回復への一歩に過ぎない。国や国会は過酷な現実を直視し、謝罪と救済を拡充する責務がある。 調査は、2019年に成立した被害者救済のための一時金支給法に基づき、両院事務局などが国や自治体の保管資料などを分析した。 報告書によると、被害者の最年少は9歳男女で、「6歳ごろ」との記述もあった

  • 共産党が南あわじ市議の蛭子氏を除籍 「党内民主主義は終わっている」などと発信

    共産党に属していた兵庫県南あわじ市議の蛭子智彦氏(65)を、同党淡路地区委員会が除籍したことが7日までに分かった。除籍は2日付。党兵庫県委員会も3日に承認した。蛭子氏は交流サイト(SNS)で「党の閉鎖的で独善的なイメージを打ち破るには綱領を大きく変え、地道に活動するしかない」「党内民主主義は終わっている」などと発信していた。 共産党は今年に入り、党首公選制の導入などを求めた別の党員2人を相次いで除名処分にしている。 蛭子氏は5期目で、市議会の副議長を務めている。これまでの選挙は共産党公認で当選した。4月には別の共産市議との2人会派を解散し、5月下旬に自ら離党届を提出。その後、無所属で「市民の会」という1人会派を立ち上げている。 党淡路地区委員会は市議も辞職するよう勧告したが、蛭子氏は「課題の残る地域のためにも辞めるわけにはいかない」としている。(西竹唯太朗)

    共産党が南あわじ市議の蛭子氏を除籍 「党内民主主義は終わっている」などと発信
    Innovator00
    Innovator00 2023/06/08
    ガーシーにすらあんなに国会は慎重になったのに、そういう処分を短期間に連発するのは異常だよ
  • 議員のセクハラ/政界を挙げて根絶へ動け

    政治を志す女性にとって、ハラスメントは大きな障壁の一つとなっている。「嫌がらせ」と訳されることが多いが、明白な人権侵害である。根絶に向け、政党や議会は率先して対策に取り組まねばならない。 政治団体・大阪維新の会の笹川理(おさむ)大阪府議が、維新に所属する女性大阪市議にセクハラやパワハラをしたとして、府議団代表を辞任した。大阪維新の代表を務める吉村洋文大阪府知事は「議員辞職すべきだ」と述べ、笹川氏が出した離党届は受理せず、除名処分にした。 問題は5月に週刊文春が報じた。2015年、初当選したばかりの女性市議に対し、性的な関係を迫る▽「ふざけんなや」などと威圧的なメッセージを送る▽深夜に事務所前で帰りを待つ-といった行為があったという。事実であれば、極めて悪質で言語道断だ。 笹川氏はパワハラはおおむね認めたものの、性的関係を迫ったことは「記憶も記録もない」などと釈明した。一方、女性議員は報道内

  • 同性婚訴訟/国に法整備迫る違憲判決

    同性同士の結婚を認めない民法などの規定は憲法違反と断じる判決を名古屋地裁が出した。各地で進む同種裁判で、違憲の判断は一昨年の札幌地裁判決に続く2例目となる。 判決は、同性カップルを法律婚から排除し、関係を保護する枠組みすら与えないのは国会の裁量を超えるとして法制度の不備を認めた。法の下の平等をうたう憲法14条だけでなく、結婚の自由を定めた24条の2項にも違反するとの初判断を示した。 賠償請求は棄却したが、社会情勢の変化を反映し、これまで以上に当事者に寄り添おうとする姿勢がうかがえる判決である。 共同通信社が今春実施した世論調査では、同性婚を「認める方がよい」と答えた人が71%に上った。同性カップルを条例などで認証する「パートナーシップ制度」を導入する自治体は300以上に達した。 ただ、自治体による制度には法的拘束力がなく、相続や年金、税制などで法律婚と同じ権利が認められるわけではない。地域

  • メーデー/賃上げの重要性再確認を

    きょう5月1日はメーデーである。働く人が職場の枠を超えて連帯し、労働者の権利を主張する日だ。兵庫県内でも、先週から労働組合が各地で集会を開いている。 約40年ぶりの高インフレを受け、2023年春闘では大企業で賃上げが相次いだ。中小企業にも一定程度、波及した。人材獲得競争が激しくなっていることも、企業の対応を強く促した。 ただ裏を返せば、経営側はこれまで賃上げにあまりにも消極的だった。グローバル競争下でコスト削減を優先し、多くの企業が人件費抑制を推し進めた。 対する労組側も、賃上げより雇用維持を重視してきた。長期雇用が前提のため、待遇改善の要求を強く打ち出しにくい「空気」も影響したようだ。こうした労使の姿勢が、長年にわたる日の賃金の停滞を招いてきたと言える。 歴史的な物価高が収まる気配はない。働き手の暮らしを守り、内需主導による経済の好循環に入るには、春闘の賃上げ機運を一過性で終わらせては

  • 子どものケア/長期支援と備えの両輪で

    「心のケア」が広く知られるようになった契機は、1995年の阪神・淡路大震災である。当時の体験や教訓は、その後の被災者支援に生かされている。自然災害で受けた心の傷は、時がたてばやわらぐように思われがちだ。しかし影響が長く残り、複雑化することは珍しくない。長期にわたる支援が求められる。 東日大震災から12年が経過した。当時子どもだった世代の中には、親となった人も多い。子育てに関する被災地の調査で、気になる結果が報告されている。 「東日大震災子ども・若者支援センター」(宮城県)は2020~21年、子育て中の保護者にアンケートを行った。そのうち中高生時代に岩手、宮城、福島3県で被災した120人を分析すると、家の全半壊や親族を亡くすといった被災経験が多いほど、保育所や幼稚園の先生に相談する頻度が低かった。 震災後の混乱の中、みんな大変だからと、つらい気持ちをだれにも言えず抱え込んでしまった子ども

  • LGBT法案/首相は指導力を発揮せよ

    LGBTなど性的少数者の差別を禁じる法案提出に向けた国会の議論が進んでいない。 岸田文雄首相は、自らの元秘書官の差別発言を受け、自民党に法案の国会提出準備を指示したが、党内には否定的な意見が根強い。首相は就任当初から「多様性を認め合う包摂的な社会の実現を目指す」と強調してきた。であるならば、党総裁として、今国会での成立へ指導力を発揮するべきだ。 連立を組む公明党や、野党各党は、首相の地元広島で5月に開かれる先進7カ国首脳会議(G7サミット)までの法整備を求めている。G7で性的少数者の差別を禁じる法令がないのは日だけだ。人権状況の改善をどこまで示せるか。議長国として具体的な行動が急がれる。 性的少数者への理解増進を図る法案を巡っては、超党派の議員連盟が主導し、2021年5月にまとめた。この法案が議論の土台になるとみられるが、「差別は許されない」と明記されていることに自民党の一部保守派が強く

    Innovator00
    Innovator00 2023/03/19
    “人権侵害は理解や思いやりでは解決できず、差別解消への法整備が不可欠だ”
  • 三菱電機・検査不正問題 尼崎など2製造拠点に30日間の業務停止命令

    三菱電機は17日、一連の検査不正問題に絡み、コミュニケーション・ネットワーク製作所(兵庫県尼崎市)と鎌倉製作所(神奈川県)で、電波法違反に該当する事案があったとして、総務省から無線設備点検の30日間の業務停止命令と改善命令を受けたと発表した。 同省によると、尼崎の製作所では2016年5月、第5世代(5G)移動通信システムの実験設備点検時、無登録の点検員が登録のない測定器を使って点検するなどの違反があったという。 両製作所は、通信ネットワーク用のシステム構築や機器製造などを担う。同社は、業務停止に伴い点検できない設備は社内に限られ、製品出荷に大きな影響はないとしている。

    三菱電機・検査不正問題 尼崎など2製造拠点に30日間の業務停止命令
  • 飛行物体侵入/米中は緊張回避の努力を

    気球などの不審な飛行物体が米国とカナダの領空に相次ぎ侵入し、米軍機が撃墜する事態に発展した。 米軍による迎撃は今月に入って4件も発生している。少なくとも一つは中国の偵察気球とみられ、アンテナなどの通信傍受機器を搭載していた。米国は「主権侵害だ」と中国を強く非難し、予定していたブリンケン国務長官の訪中を延期した。 中国は気球を自国のものと認めたが、「民間の気象研究用が誤って進入した」と主張し、撃墜した米国を批判している。この問題は国際社会の新たな火種となりつつある。 両国の対立が深まれば、日を含む地域の平和と安定に深刻な影響を及ぼす。緊張の高まりを回避する努力を、今は優先させねばならない。 今回、最初の物体を米国が探知したのは1月下旬だった。アラスカ州からカナダや米土に進み、今月4日、東海岸沖でバイデン米大統領の命令により撃墜された。米当局が残骸の回収と解析を進めている。 中国は「不可抗

    Innovator00
    Innovator00 2023/02/17
    “迷い込んだのなら事実を伝えて事故防止に努めるのが筋だろう”
  • 首相秘書官更迭/政権の差別意識あらわに

    岸田文雄首相は、性的少数者に対する差別発言をした荒井勝喜(まさよし)秘書官を更迭した。 荒井氏は3日、LGBTなど性的少数者や同性婚を巡り「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ」と記者団に述べた。差別感情をむき出しにし、個人の尊厳を踏みにじる許し難い暴言だ。更迭は当然である。 荒井氏は「個人的意見」と釈明し、発言を謝罪、撤回した。だがそれで済む問題ではない。 秘書官は首相と常に行動を共にする政権の要職で、内閣の政策立案に関わり、首相の考えを内外に発信する。荒井氏は広報担当として首相のスピーチ作成も担っていた。最側近によるあからさまな差別発言は、政権の体質と首相自身の人権感覚を疑わざるを得ない深刻な事態だ。 首相は就任当初から「多様性を認め合う包摂的な社会を目指す」と述べてきた。荒井氏の発言翌日には更迭を決め「政府の方針とは全く相いれない。言語道断だ」と強く非難した。だが、当にそうか。言葉通

    Innovator00
    Innovator00 2023/02/07
    “LGBTは「生物学上、種の保存に背く」と発言した簗和生(やなかずお)文部科学副大臣は、おとがめなしのままだ”
  • 「命を守る」を学ぶ/多様な営みが備えにつながる

    きょう、阪神・淡路大震災の発生から28年となる。死者6434人、行方不明者3人。あまりにも多くの命が失われた。1月17日は被災地で鎮魂の祈りがささげられる。震災の教訓の原点である「命を守る」誓いを新たにしたい。 震災後に生まれた子どもが増える中、体験や教訓を語り継ぐことは「未来の防災」にほかならない。一方で、震災を直接知らない世代の教員が防災教育を担う時代である。 防災や減災の意義を一方的に説くだけでは心に響かない。経験がなくても「わがこと」と感じ取れる教育が欠かせない。世代を超えて記憶を受け渡す営みは、いっそう重みを増している。 ◇ 記憶をつなぐ人は名乗っていなくても「語り部」だが、体験者は時とともに減っていく。次の世代にいかにバトンをつないでいくか。学びの現場で模索が続く。 神戸学院大現代社会学部の舩木(ふなき)伸江教授(防災教育)は、阪神・淡路を当時の小学生の目線で追体験する教材作り

    「命を守る」を学ぶ/多様な営みが備えにつながる
  • 刑務官の暴行/教訓が生かされていない

    名古屋刑務所で昨秋から今夏にかけて、刑務官22人が男性受刑者3人に対し顔や手をたたいたり、アルコール液を顔に噴射したりする暴行を繰り返していたことが判明した。60代の受刑者1人が左まぶた付近に5日間の軽傷を負った。 同刑務所では2001年から02年にかけて、消防用ホースで尻に放水された受刑者が死亡したり、革手錠で腹部を締め付けられた受刑者2人が死傷したりする事件が起きた。複数の刑務官が特別公務員暴行陵虐致死罪などで有罪が確定した。 事件を機に、明治以来の監獄法に代わり、06年に受刑者の権利義務を明確にした受刑者処遇法(現在の刑事収容施設法)が施行された。 20年前の教訓が生かされなかった事態は極めて深刻だ。斎藤健法相は、全国の刑務所で同様の事態が起きていないか調査する方針を示し、外部有識者による検討会の設置を表明した。刑事事件としての立件も検討している。当然の対応である。 改善更生に重きを

  • 安保政策の転換/「軍事大国」への歯止めはどこに

    戦後日の安全保障政策の根的転換である。 政府はきのう、他国領域のミサイル基地などを破壊する敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有を明記した「国家安全保障戦略」など安保関連3文書を閣議決定した。防衛費は2027年度に国内総生産(GDP)の2%を目指すとし、23年度から5年間の総額を43兆円に増やす。財源の一部は増税で賄う方針も決めた。 安倍政権による集団的自衛権行使容認に続き、憲法9条に基づき堅持してきた専守防衛の形骸化が名実ともに加速する懸念が増す。それに比して、リスクや歯止めを巡る議論が深まったとは言い難い。 過去の戦争への反省を忘れ、国民を置き去りにしたまま、「軍事大国」への封印を解こうとする拙速な政策転換は、断じて容認できない。 ◇ 専守防衛は、武力攻撃を受けて初めて防衛力を行使し、保持する防衛力も自衛のための必要最小限に限る受動的な防衛戦略を指す。戦後日の国是である。それを逸脱しか

  • 労働組合の役割/「遠い存在」からの脱却を

    勤務先や雇用形態にかかわらず、1人でも加入できる企業外労働組合は、弱い立場にある労働者の「最後のとりで」といえる。合同組合やユニオンとも呼ばれる。 新型コロナウイルス感染拡大の影響で解雇や雇い止めに遭った人は、全国で累計13万人を超えた。兵庫県では約3600人に上る。中でも、深刻な影響を受けたのは非正規雇用で働く人たちだ。企業外労組にも相談が寄せられている。 個人消費が持ち直し、訪日外国人による需要が回復する一方、ここにきてコロナ関連の破綻が増える兆しがある。政府の緊急融資の効果が薄れたところに円安や物価高が重なり、苦しむ中小企業は多い。雇用不安の増大に注意が必要だ。 求められるのは労働者への支援強化である。地域に根ざして活動する企業外労組の現状を通して、働く者同士が連帯や団結することの大切さを改めて考えたい。 企業外労組の最大組織「コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク」(事務局・東京)

    Innovator00
    Innovator00 2022/12/13
    “女性に限ると12・8%、従業員が99人以下の事業所では0・8%に過ぎない”
  • 記録廃棄の検証/保存する意義から議論を

    1997年の神戸連続児童殺傷事件など重大な少年事件の記録が全国の家庭裁判所で廃棄されていた問題を受け、最高裁の有識者委員会が記録保存の在り方の検証を始めた。この中で最高裁は、50件余りの事件について記録廃棄の経緯を調べる方針を明らかにした。調査は神戸家裁で先行しており、廃棄時期に在職した職員らから既に聞き取りをした。 いずれの記録も後世に残すべき歴史的資料だった可能性が高い。事実上の永久保存に当たる「特別保存」の対象から外れた理由も含め、徹底した調査を求めたい。 最高裁の内規は、全国的に耳目を集めた事件や、少年非行研究の重要な参考資料になる事件の記録を特別保存するよう定める。今回の調査対象には連続児童殺傷事件をはじめ、2004年の長崎・佐世保小6女児殺害事件や12年の京都・亀岡暴走事故などが含まれている。 少年法厳罰化のきっかけになるなど、これらの事件の社会性や特異性を考えれば、なぜ特別保

  • 森友改ざん判決/真相解明の道を閉ざすな

    森友学園に関する財務省の決裁文書改ざんを苦に自殺した近畿財務局の元職員赤木俊夫さんの雅子さんが、佐川宣寿元国税庁長官に損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は請求を棄却した。 国家公務員仕事に誇りを持っていた夫が、なぜ改ざんを強いられ、自ら命を絶つまで追い詰められたのか。真実を知りたいと提訴した遺族にとって、司法の限界を見せつけられる思いだったろう。雅子さんは控訴の意向を示している。 国民の共有財産である公文書の改ざんは、民主主義の根幹を揺るがす不祥事である。真相解明への道を閉ざしてはならない。 改ざんは、森友学園への国有地売却の巨額値引きを巡る疑惑に関し、安倍晋三元首相が2017年2月の国会で「私やが関わっていれば総理も議員も辞める」と答弁したのが引き金とされる。9日後に俊夫さんは初めてその作業を指示され、18年3月に自殺した。 判決は、財務省理財局長だった佐川氏の主導で同省が組織