『週刊東洋経済』2013.10.5号に掲載された、連載「歴史になる一歩手前」の第12回(最終回)です。写真入りの東洋経済オンライン版はこちら、全連載はこちらから。 私たちが夢をみなくなったのは、いつからだろう。 1979年生まれの私は、1989年にちょうど10歳。小学校高学年で社会の動きが目に入り出す頃だから、「冷戦の終焉」を覚えている最後の世代だ。 前年から天皇崩御が予想され、「次の元号」の噂がクラスで飛び交っていた(結局、みんな外れた)。国内では女性党首のおばさん率いる野党が選挙で与党を負かし、海外ではやたらと大きな壁が取り壊されて、わからないなりに何かが「始まった」ような気がしていた。 翌年、中東の軍人さんが侵略戦争を始めても、工作用紙でボードゲームにして遊ぶうちに、翌々年には多国籍軍が押し戻した。その夏、ヒグマみたいなおじさんが戦車に乗ってクーデター阻止を叫び、子供たちの人気者だっ
![冷戦を知らない子供たちへ 進歩をやめた歴史を生きる(與那覇潤) - 個人 - Yahoo!ニュース](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/850906e908be9c0a789cb91ed4decea417c5ba13/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Frpr.c.yimg.jp%2Fim_siggmuUNUm.ExTAIfWioa8y5rg---x200-y200%2Fyn%2Frpr%2Fyonahajun%2Fprofile-1372859500.jpeg)