ピアジェという人が何をしたのかはほどんど知らないのですが、この名前を聞いてかろうじて思い浮かぶことは、子どもの量の概念形成について研究した人であり、シェマということばを使った人である、ということくらいです。山下正男『論理学史』でピアジェの名を見かけたときに、「あのピアジェなのかな? 別のピアジェかな?」と一瞬不安になったのですが、“知能心理学者”とついているので、やはりあのピアジェなのでしょう。 というわけで、久しぶりに開く次の2冊。 ■遠山啓『量とはなにか−Ⅰ』 ■アミール・D・アクゼル『ブルバキとグロタンディーク』 前者では、「幼児の量概念」という章において、「これまでの“算数の心理学”にくらべると格段にすぐれているが、批判の余地がありうる」という留保をつけたうえで、ピアジェの研究の紹介がされています。内容は粘土の実験。子どもが物質・重さ・体積の保存を段階をおって習得していく様