暴力団への締め付けが進んだ2000年代以降、北九州や周辺では凶悪事件が相次ぎ、市民は暴力の影におびえた。戦場兵器までが使われ、「修羅の国」と揶揄(やゆ)された。福岡県警は前例がない「工藤会壊滅作戦」に乗り出し、日本唯一の特定危険指定暴力団の上層部を軒並み逮捕し、法廷では検察と弁護側が全面対決した。西日本新聞の工藤会トップ裁判取材班は、20年以上にわたる取材の内容を新著「落日の工藤会」(KADOKAWA)にまとめた。その中から、壊滅作戦の舞台裏や法廷での攻防などを報告する。 【法廷スケッチ】落ち着かない様子も…判決の言い渡しを聞く野村悟被告 「あんた、生涯、このこと後悔するよ」 法廷で耳にすること自体が疑われる言葉だった。そう言った男の目は裁判長を見据えていたのだから恫喝(どうかつ)に等しかった。 傍聴席ではざわめきが起きている。 2021年8月24日、福岡地裁101号法廷。この言葉を言い捨