春日局が穿いている緋袴は、宮廷の女性たちが着用していたもの。つまり春日局には宮廷(御所)に上がる資格があったことを表している。(春日局像[摸本]/東京国立博物館蔵、出典:国立文化財機構所蔵品総合検索システム) 生涯にもうけた子どもの数が50人以上という11代将軍・徳川家斉(とくがわいえなり)。その子どもの半数以上が成人しなかったのは、大奥ならではの育児事情に原因があった。 11代将軍徳川家斉は、なんと生涯で53人(一説には55人)の子どもをもうけた。そのうち、成人したのが、わずか26人。半分以下である。そのほとんどが、5歳までに亡くなっている。江戸時代には7歳までは神のうちといわれて、乳幼児死亡率が2割とも3割ともされているとはいえ突出している。 どうして、将軍の子どもは、成人しないのか? これは、大奥ならではの子育てに理由があった。 今では、母親が子どもを育てることが当たり前だが、かつて