【松川敦志】沖縄本島から南西450キロの竹富町。国は、八重山地区の他の2市町と異なる中学公民教科書を使っているとして是正要求に乗り出した。保守色の強い「新しい歴史教科書をつくる会」系の中学公民教科書を使う2市町と、反発する竹富町。現場を記者が歩いた。 教師が「国会の地位としくみ」と板書する。生徒たちがノートに丁寧に写し取っていく。10月の午後、竹富町内のある中学校。開け放った窓の向こうの青空を背に、3年生の公民の授業が静かに進んでいた。 この授業は法律に基づいていない。国はそう言う。 「つくる会」系の育鵬社版を使うよう決めた地区協議会の決定に沿わず、竹富町がこれまで通り東京書籍版を使っているためだ。 「ご覧の通り、ごく普通の授業です」 そう言うと、校長は続けた。「この2年、現場とかけ離れたところで強引にことが動いていった。不気味な怖さがあった」