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ブックマーク / dictionary.sanseido-publ.co.jp (5)

  • 第218回 お化けの字? エイ・フン | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    夏らしい字を1つ紹介しておこう。『法華三大部難字記』という漢和辞典を学生時代に大学の図書館で開いた。江戸時代初期、承応二年(1653)の奥書をもつ版だが、よく見る漢字の他に、見かけない奇妙な字が並んでいる。川瀬一馬『古辞書の研究』では、その片仮名の異体などから室町時代のものをそのまま印行したものと推測されている。同書のほか影印の解題も述べているとおり、書名の如くに法華三大部やその音義書にあるのだろう、と思って智顗が著したいわゆる法華三大部六十巻、「法華玄義」「法華文句」「摩訶止観」なども調べてはみた。 しかし、それらには使われていない不可思議な字が、日製漢字つまり国字を含めて、かなりその辞書に載っていることが分かった。仏教諸派や修験道で秘伝とされた類の祈祷法には、道教のそれに雰囲気の似た呪符がいくつもあるのだが、このようなものとも異なっている。この辞書の不思議な字は、JIS漢字の幽霊文

    Itisango
    Itisango 2024/07/01
  • 「巫」は常用平易か(第2回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム

    それでは家庭裁判所が、常用漢字でも人名用漢字でもない漢字を、戸籍法第50条で言うところの「常用平易」だと認めた例は、あるのでしょうか。実は「穹」が、その一例なのです。(『民事月報』平成20年5月号141~172頁) 平成18年のこと、大阪市都島区のとある夫婦のもとに、男の子が誕生しました。両親は、子供の名に「穹」を含む出生届を提出しようとしたのですが、都島区役所は、この出生届を受理しませんでした。当時「穹」は、常用漢字でも人名用漢字でもなかったからです。やむを得ず両親は、「名未定」とした出生届を提出し、都島区役所は「名未定」の出生届を受理しました。その上で両親は、大阪家庭裁判所に不服申立[平成18年(家)第7444号]をおこないました。子供の名に「穹」を含む出生届を受理するよう都島区長に命令してほしい、と申し立てたのです。 平成19年4月10日、大阪家庭裁判所は両親の主張を認め、都島区長に

    「巫」は常用平易か(第2回) | 人名用漢字の新字旧字(安岡 孝一) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第167回 生き続ける「汢」 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    「汢ノ川」(ぬたのかわ)の農村を縫って建設中のコンクリートの高速道路は、山林の風景に似つかわしくなく、やや異様な光景だ。時計を持ち歩かなくなって久しい。ケータイを見る時間も惜しい。時間は心の中で、やることによって伸び縮みする。熱っぽいときの体温計と同じで、へたに見てしまうと、やる気を失ったり逆に焦ったりして、リズムが狂ってしまう。 電柱には、カタカナで「ヌタノカワ」や「ヌタノ川」とあるのがまず目に入った。新しいからか、いや、新しい方がJIS漢字のおかげで「汢」が出るか。畑で作業をしている方々は、よそから車で来ていただけで、漢字は知らないという。電柱にあるのでは、というので見たら、やはりそこでもカタカナだった。途中から、やっと「汢ノ川」と書かれたものも目に付きだした(前回参照)。 この先までがヌタノカワで、全部で16軒あるというので、もっと奥へ進む。その巨大な白い構造物をくぐって奥まで行って

    第167回 生き続ける「汢」 | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム
    Itisango
    Itisango 2012/03/13
    漢字の現在:生き続ける「汢」
  • 第139回 「菩薩」の略字―現代の抄物書き | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    「円」は元は「圓」だった。今は、神社の奉納社名簿や落語家さんの芸名など使い途が限定されてしまった。この「円」という「新字体」は、元を辿ると、平安時代に弘法大師、空海が「囗」の中に「|」だけを書いて済ましたことに遡れると話す。その下の横画がだんだんと書きやすく短めに書かれるようになっていき、真ん中辺りまでせり上がって、ついに「円」という字体ができた、これがなければ家計簿に書くときにも大変だったはず、と話してみる。由来をお聞きになって、そのお寺に銅像として立つ空海さんは偉い、とそこのお坊さんの先生。 空海は、「圓」を略しただけでなく、「菩薩」は「ササ」を上下に重ねて「」という合字で書いていた。これは空海の独創ではなく、中国は唐代に僧侶がすでに発明していた略字で、日では古くから抄物書きともよばれる一群をなしてきた集団文字、場面文字の代表格であり、位相文字の典型だ。 その若いお坊さんの先生が、話

    第139回 「菩薩」の略字―現代の抄物書き | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム
  • 第82回 幽霊文字からキョンシー文字へ? | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム

    昭和のある日、とある大手証券会社に大金を持って表れたその人物が、名刺に残していったと伝えられる。その字体は、【図2】のように印刷した資料もある。 当人は、その時に「たいと」と名乗ったそうだ。ただ、電話帳など他の姓のデータには見いだすことができず、当時は用いることが可能であった仮名(かめい)ではないかと推測される。 読み方は、「だいと」「おとど」として転載する名字や国字の辞書なども現れている。「おとど」とは、大臣を表す古語であろうか。伝聞が転化したものにしては、いささか差が大きい。 私は、タイという音を持つと、トウという音を持つという2つの漢字を並べて用いた、2字からなる仮名(かめい)だったのでは、と考えている。それが、情報として一人歩きをしていくなかで、1字として認識されるようになり、姓の辞書にも転載され、世界最大の画数を有する国字として、一部で知られるようになった、ということではなかろう

    第82回 幽霊文字からキョンシー文字へ? | 漢字の現在(笹原 宏之) | 三省堂 ことばのコラム
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