東京科学医療グループ・東山正宜 マリー・キュリーがノーベル化学賞を受けて100年となる今年は「世界化学年」。化学賞を7人が受賞した日本の化学研究は世界をリードする存在だ。その化学者たちの次の大きな目標のひとつが、植物の光合成を人工的に作り出すこと。「空気からパンを作った」と言われたアンモニアの合成のように、二酸化炭素(CO2)を資源に変えようとしている。 ◇今年は世界化学年 ◇次の目標 人工的な光合成 「植物がしている光合成を、まだ人工的にできないのは化学者の恥。CO2をリサイクルできれば、空気中から減らせ、資源にもなる」。ノーベル化学賞を受けた米パデュー大の根岸英一さんは人工光合成の重要性を繰り返す。 欧米の研究機関のまとめによると、地球の植物は、人間が使うエネルギーの10倍を使って光合成しているが、それでも太陽から地球に注ぐエネルギーの1千分の1。人工光合成でCO2を分解して資源を作