抗ウイルス薬による治療を受けたエイズ患者とコンドームなしで性交してもエイズウイルス(HIV)に感染しない−。スイス政府のエイズ問題に関する委員会が発表した論文に、世界保健機関(WHO)などのエイズ対策関係者が「感染予防活動に支障が出かねない」と神経をとがらせている。 同委員会がこのほどスイスの医学雑誌に寄せた論文によると、スペインやブラジルで調査した結果、半年以上、抗ウイルス薬の投与を受けたエイズ患者がコンドームを使用せずに性交しても、相手がHIVに感染する事例はほとんどなかった。同委員会は「同じ条件の数千人のスイス人にとって朗報」と位置付け、避妊具などによる感染予防策が不要になる可能性に言及した。 一方、WHOと国連合同エイズ計画(UNAIDS)は「セーフセックス」を強く推奨する共同声明をあらためて発表。欧州委員会のキプリアヌ委員(保健担当)もスイスのメディアに「このような調査で間違った