衆議院の解散後、記者会見をする岸田文雄首相=首相官邸で2021年10月14日午後7時45分、竹内幹撮影 被爆地・広島選出の岸田文雄首相が就任してから1年がたった。「核兵器のない世界」を強調したものの、ロシアのプーチン大統領が核の使用も辞さない姿勢を示すなど、世界の核軍縮は逆行の動きが出ている。核軍縮をライフワークとする岸田首相の姿勢をどう評価するか。ノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」の川崎哲(あきら)・国際運営委員(53)が感じた期待と矛盾とは――。【聞き手・大沢瑞季】 「核禁条約は重要」発言はすごい 印象に残っているのは、岸田首相が昨年10月4日の就任記者会見で、核兵器廃絶をテーマとして明確に取り上げ、核兵器の開発や保有、使用を全面的に禁じる核兵器禁止条約(核禁条約)について「核兵器のない世界を目指す際の出口にあたる大変重要な条約」と明言したこと