「娘の名前や年齢は自治会に知らせていないのに、教育委員会が新入学児の名簿を提供していた」。自治会から小学校入学を祝う祭りの案内状を受け取った東京都墨田区の40代男性が、東京新聞に疑問の声を寄せた。個人情報を行政が自治会に渡すことに問題はないのか。(酒井健)
1883年時点の神奈川県の管轄範囲を示した「神奈川県管下之図」(神奈川県立図書館所蔵)。上部の緑色、青色、赤色で囲まれた地域が、それぞれ西多摩、北多摩、南多摩郡 東京都の面積の半分を占め、都民の3分の1が暮らす多摩地域。その多摩が、神奈川県だった時代がある。今から1世紀半前、明治時代前半のことだ。期間は20年余り。多摩はなぜ神奈川となり、その後東京へと移ったのか。1893年の多摩の東京移管から今年でちょうど130年。謎を探った。
地方公務員の中で「賃上げ差別」が起きている。正規職員は2023年度に民間に準拠して賃上げした一方、非正規職員は全国の半数近い自治体が正規並みの賃上げをしなかったことが国の調査で判明した。非正規だけが賃上げの潮流から取り残されている。(渥美龍太、畑間香織) 地方公務員の賃金は、民間の賃金水準を調査した国の人事院や都道府県などの人事委員会の勧告に基づき、各自治体が12月ごろに改定する。正規については、各自治体の条例に基づき同じ年の4月にさかのぼって賃上げされる仕組みだ。23年度は民間が大幅な賃上げをしたため、正規の大幅な賃上げに踏み切った自治体は数多い。 しかし総務省が23年度の非正規の状況を調査(23年12月時点)すると、都道府県や市区町村など全1788自治体のうち、約45%(802自治体)が23年4月にさかのぼっての賃上げをしない方針であることが判明した。このうち年度途中から賃上げする自治
2015年7月、群馬県桐生市に住む黒田正美さん=仮名=の携帯電話が鳴った。声の主は同市福祉課の職員だった。 当時、黒田さんは30代後半。父の杉本賢三さん=仮名、当時(61)=と市営住宅で同居していたが、結婚で独立し、杉本さんは単身生活を送っていた。駆け付けると、ライフラインは全て止められ、石油ストーブの燃焼筒に外で拾い集めた木くずを入れてマッチで着火し、わずかに残ったコメを煮炊きしていた。窮状を見かけた近所の住民が市へ通報したのだという。 杉本さんは料理人として働いていたが、心臓疾患などによる体調悪化で就労困難な状態が続いていた。黒田さんは市福祉課に相談したが、「家族で支え合って」「実家に戻りなさい」と相手にしてもらえなかった。同年8月、杉本さんはやむを得ず市内の実家で暮らす妹、黒田さんにとっては叔母の家に身を寄せる。
埼玉大(さいたま市桜区)は、昨年12月から学内の大学トイレ24カ所に無料で生理用品の設置を始めた。学生の有志団体が発案したプロジェクトで、男性トイレも含まれる。団体側は「予測できない生理で困る人を減らし、生理のタブーも覆したい」としている。 有志団体はジェンダー平等の社会作りなどに取り組む「Spring Up(スプリングアップ)」。メンバーの間で「急に生理が来たとき、生理用品を持ち合わせていなくて困った」「生理のない人に体調変化を理解してもらえずつらい思いをした」などの声があり、昨年6月にプロジェクトを立ち上げた。学内アンケートでも好意的な結果が得られ、大学のダイバーシティ(多様性)推進センターと協力して実現した。 設置の内訳は女性トイレ15カ所、多目的トイレ7カ所、男性トイレ2カ所。男性トイレは尿漏れパッドなどが捨てられるサニタリーボックスも設置した。生理用品は主にトランスジェンダー男性
病気やけが、老化などで生活機能が低下した患者の回復を助ける「リハビリ専門職」の賃金は20年来、横ばい状態が続く。この間、同じ国家資格でも看護師や薬剤師などの賃金は増加傾向にあり、医療や福祉、介護分野における「職種格差」が広がっている。春闘の季節、政府が経済界に「物価上昇を上回る賃上げ」を呼びかける中、リハビリの現場でも待遇改善を訴える声が大きくなっている。(佐藤航) リハビリ専門職 「座る、立つ、歩く」など基本動作の回復や維持を支える理学療法士、「食事、入浴、家事」など生活動作の回復や社会復帰をサポートする作業療法士、言葉を使ったコミュニケーションの訓練や検査を担う言語聴覚士、視覚の矯正訓練や検査に携わる視能訓練士などがある。これら主要4職種はいずれも国家資格。厚労省によると2022年末現在の有資格者数は理学療法士が約20万2000人、作業療法士が約10万9000人、言語聴覚士が約3万80
東京都の非正規公務員として児童生徒や保護者からの悩みを聞いて支援してきたスクールカウンセラー(SC)から、3月末で「雇い止め」に遭うとの訴えが労働組合に相次いで寄せられている。2日までに33人の都SCが相談した。労組の担当者は「10年、20年と経験やスキルを積んで学校長の評価が高いSCが本年度で切られ、子どもや保護者への影響が大きい」と指摘する。(畑間香織) 相談を受けたのは、SCや心理職らでつくる労組「東京公務公共一般労働組合心理職ユニオン支部」(豊島区)。1月29日、校長の評価が良く勤務に関し指導を受けたことがない人の不採用撤回や、採用基準の明示などを求め都教育委員会に団体交渉を申し入れた。 都SCは、全員が非正規の公務員。契約を1年ごとに区切る新しい人事制度が2020年度に全国の自治体に導入されたのを受け、それ以前から勤めてきた都SCは、23年度に都教委の定める契約更新の上限に達する
オウム真理教の元幹部井上嘉浩元死刑囚=2018年に執行、当時(48)=と高校時代に同級生だった男性が、カルト被害のない社会を目指す市民団体で活動している。男性の根底にあるのは、同級生を止められなかった自責の念だ。カルト被害はこの国で、旧統一教会の問題も含めて形を変えて今も根強く残る。オウム真理教事件は終わっていない、と訴える識者らも多い。(木原育子)
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