先日、新聞を開くと、こんな広告が目に入ってきた。高円寺阿波踊り関連イベントのお知らせである。 阿波踊りといえばもちろん徳島県(阿波国)が本場だが、東京都杉並区の高円寺でも、毎夏盛大に阿波踊り大会が開催されている。1957年から続いている行事だという。 この広告を見て、思い出したことがある。 以下の文章は、今からおよそ50年前、当時小学校三年生だった女の子「せっちゃん」が、この高円寺阿波踊りで体験した出来事だ。[1] おねだり (略) 小学校三年生のとき、高円寺商店街で阿波踊りがあった。町の大きなイベントだ。 各町内会が連をつくり、色とりどりの着物で踊りを競い合う。 母が働いていたマージャン屋の前がメインの通りで、そこを踊り子さんが通る。 出たかったが、着物がないと出られない。出たいなぁ、と口に出して言った。 当時、子どもの浴衣は千円ほどした。家では、十円二十円のことで父と母がケンカしている