1927(昭和2)年の開業以来、まもなく100年にならんとする東京の地下鉄。中には利用者の便宜のため、周辺施設の名前を駅名に採用した例も多い。 よく路線図を見ると、その施設名の後に「前」がついている駅とついていない駅がある。なぜだろうか?「前」の有無の背景を調べてみた。 「前」がつく駅とつかない駅の“基準” 2023(令和5)年1月現在、東京の地下鉄でいちばん新しい駅は、東京メトロ日比谷線の虎ノ門ヒルズ駅。2020(令和2)年6月6日に開業した。その名のとおり虎ノ門ヒルズに直結し、銀座線・虎ノ門駅との乗換駅にもなっている。 その銀座線には、同じく商業施設の名前を採用した駅として三越前駅がある。やはり日本橋三越本店に直結しているからわかりやすい。ほかに二重橋前・国会議事堂前・外苑前……と周辺にも「前」がつく駅は多いが、なぜ虎ノ門ヒルズ駅は「虎ノ門ヒルズ前」にならなかったのか? 実在の施設が駅