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ブックマーク / natgeo.nikkeibp.co.jp (103)

  • 経口避妊薬で女性の運動中のけがが減る、筋肉と腱で8割減、研究

    女性アスリートは男性に比べて前十字靱帯断裂などを起こしやすいが、経口避妊薬を服用することで、けがのリスクを下げられるかもしれない。(PHOTOGRAPH BY JODI COBB, NAT GEO IMAGE COLLECTION) この数十年でスポーツをする女性が増えたことで、女性アスリートのけがは男性アスリートとは違う場合があるという認識が広まっている。けがの種類によっては、負傷のしやすさにホルモンが関係している可能性を示す証拠が集まりつつあるからだ。 このほど、経口避妊薬を飲んでいる女性は、飲んでいない女性に比べて、下肢(脚と足)の筋肉と腱のけがをする確率が約8割も下がることを示す論文が、2024年3月に医学誌「Medicine & Science in Sports & Exercise」に発表された。 「多くの女性アスリートが何らかの避妊薬を使っています」と、けがの予防と回復の性

    経口避妊薬で女性の運動中のけがが減る、筋肉と腱で8割減、研究
  • 古代ローマの遺跡の下、当時からすむ「巨大」なカニが急速に減少

    イタリアの固有種で唯一の大型淡水ガニ「ポタモン・フルビアティレ(Potamon fluviatile)」は、「かつて生息していた古代の群れの生き残り」だ。彼らはローマ帝国の興亡を目にしてきたかもしれない。トラヤヌスの広場で撮影。(PHOTOGRAPH BY EMANUELE BIGGI) 2005年、ローマの中心部にあるフォロ・トライアーノ(トラヤヌスの広場)で発掘を進めていた考古学者らが、古代の下水道を掘り当てた。その内部からは、大理石でできた紀元4世紀のコンスタンティヌスの胸像のほか、イタリアの固有種としては唯一の大型淡水ガニである「ポタモン・フルビアティレ(Potamon fluviatile)」の群れが見つかった。研究者らは、この群れの起源は非常に古く、ローマが単なる渓谷の湿地帯に過ぎなかった時代にまでさかのぼると推測している。 古代ローマ帝国の興亡を目にしてきたかもしれない彼らだ

    古代ローマの遺跡の下、当時からすむ「巨大」なカニが急速に減少
  • チャバネゴキブリは世界をどう征服したのか、250年来の謎を解明

    チャバネゴキブリ(Blattella germanica)は、約2100年前、現在のインドとミャンマーにあたる地域でオキナワチャバネゴキブリ(Blattella asahinai)から進化した可能性が高い。(PHOTOGRAPH BY OZGUR KEREM BULUR/SCIENCE PHOTO LIBRARY) 夜でもべようとベッドから起き上がり、キッチンの明かりをつけると、冷蔵庫の下にツヤツヤと光る茶色い昆虫の群れがうごめいているのを見つけた経験はないだろうか。その昆虫とはもちろん、チャバネゴキブリ(Blattella germanica)だ。 この嫌われ者の訪問客は、どのようにして世界に悪名をとどろかせる害虫となったのだろうか。5月20日付けで学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に発表された新たな研究によると、その答えはチャバネゴキブリのDNAに記されていた。 いつ、ど

    チャバネゴキブリは世界をどう征服したのか、250年来の謎を解明
  • あなたが思っているよりも実は長い、ブラジャーの歴史

    イタリアのシチリア島にある4世紀のモザイク画に描かれた古代ローマの女性たち。リネンを胸に巻くビキニ風の「アミクトリウム」を身に着けて運動している。(PHOTOGRAPH BY LUISA RICCIARINI, BRIDGEMAN) 胸を持ち上げて左右を整えるブラジャーは、現在、年間880億ドル(約13兆円)規模の世界のランジェリー市場に貢献している。現代のブラジャーは最先端の素材と精密に設計されたサポート機能を備えているかもしれない。 しかし、その歴史をたどると、驚くほど古代までさかのぼることができる。古代の胸当てから性の象徴まで、ブラジャーはどのように進化してきたのか、なぜ時の試練に耐えて現代のブラジャーに至ったのかを紹介しよう。 ブラジャーが誕生する前の時代 ブラジャーの前身の多くはいつ発明されたのか不明だが、歴史家たちは古代ギリシャの作品でブラジャーのような衣服に関する記述を確認し

    あなたが思っているよりも実は長い、ブラジャーの歴史
  • 現代人も共感できる、悪徳商人に宛てた世界最古の苦情申立書

    4000年近く前にくさび形文字で刻まれた手のひらサイズの粘土板。質の悪い銅を売られたことへの抗議の言葉が記されている。「世界最古の苦情書」とされるこの手紙は、現在のイラク南部にあった信頼できない金属商人エアナーシルの自宅で発見された。(PHOTOGRAPH COURTESY THE TRUSTEES OF THE BRITISH MUSEUM) 3770年ほど前、不満を抱えたバビロニアの貿易商ナンニが、悪徳商人とされる同胞のエアナーシル(Ea-nasir)に、失敗した取引についての苦悩をぶちまけた。 これはすべて古代都市ウル(現在のイラク)で起きたことだが、怪しげな取引、質の悪い商品、顧客サービスの深刻な欠如を訴える苦情は現代の消費者から共感を集めている。実際、この手紙は世界最古の苦情申立書としてギネス世界記録に認定されており、4000年近く前のナンニの苦情は今もミーム(インターネットで拡

    現代人も共感できる、悪徳商人に宛てた世界最古の苦情申立書
    John_Kawanishi
    John_Kawanishi 2023/10/22
    人類の進歩とは
  • つらい記憶のフラッシュバックは「テトリス」をやると減る、研究

    2006年、イラクのアルファルージャで、軍用の金属探知機を膝に乗せ、テトリスをプレイする米海兵隊の兵士。(PHOTOGRAPH BY TOBY MORRIS, ZUMA PRESS/ALAMY STOCK PHOTO) 1980年代に世界的ベストセラーになったコンピューターゲームの「テトリス」を、メンタルヘルスの改善に役立てる研究が進められている。具体的には、テトリスをプレイして、性的暴行や自動車事故、戦争、自然災害、または困難な出産などを体験した後に起こるフラッシュバック(過去に経験したトラウマ的な記憶が自分の意志とは無関係に侵入すること)の回数を減らせる可能性があるという。 世界24カ国で実施した調査によると、人が死ぬところを見たり、愛する人が突然亡くなったり、命が脅かされたりする事故に遭ったりするなどのトラウマ体験があると報告した人の割合は70%を超えていた。だが、その後に睡眠障害や

    つらい記憶のフラッシュバックは「テトリス」をやると減る、研究
  • タイタニック号ツアーの知られざる実態、残骸に悪影響も

    タイタニック号は崩壊し続けている。鉄バクテリアが船体を分解し、主要構造物が崩壊してしまった。訪問者たちがこの劣化を加速させている可能性もある。(PHOTOGRAPH BY EMORY KRISTOF, NAT GEO IMAGE COLLECTION) カナダのニューファンドランド島セント・ジョンズの街から約610キロ沖の海底に沈むタイタニック号にたどり着くには、8時間と25万ドル(約3500万円)が必要だ。 6月18日、このような旅に出るため、5人が潜水艇タイタンに乗り込んだ。8時間の遠征ツアーが始まってわずか1時間45分後、タイタンは消息を絶った。捜索は今も続いている。(参考記事:「5人が行方不明、タイタニック号深海ツアー潜水艇の6つの疑問」) 深さ約3800メートルの海底を目指す危険はあるものの、タイタニック号を自分の目で見ることができる人はごくわずかしかいない。これはたまらなく魅力

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  • 5人が行方不明、タイタニック号深海ツアー潜水艇の6つの疑問 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト

    海面のすぐ下で撮影されたオーシャン・ゲート社の潜水艇タイタン。5名を乗せて水深4000mまで潜水できる。(PHOTOGRAPH BY OCEANGATE EXPEDITIONS) 北大西洋のタイタニック号が沈んでいる場所の近くで、現地時間6月18日の早朝、オーシャン・ゲート社の潜水艇タイタンが行方不明になった。この海域は陸地から遠く、水深は3800mもあり、そして5人の乗員にとって酸素が計96時間(4日間)しかもたないなど、救助を難しくする要因が多い。タイタンからの通信は、潜水を始めてから100分後に途絶えた。 自力で航海できる潜水艦と違って、約6m、重さ10tほどのタイタンは、母船のサポートが必要な潜水艇だ。波の影響がない水深約10mまでは母船とつながったまま沈められ、そこからはバラスト(重り)によって3800mまで沈んでゆく。海底では4つの電動推進機を使って動き回り、母船に戻るときはバ

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  • 【動画】サメの胸を正確無比に切り裂き、肝臓だけを食べるシャチ

    シャチがホホジロザメを狩る様子を初めて記録した映像。ほかの4頭のシャチがいる前で「スターボード」がサメの肝臓を取り出している。(解説は英語です) 2023年2月、南アフリカのケープタウンの海岸に19頭のエビスザメの死骸が打ち上げられた。打ち上げられた死骸はすべて同じ状態だった。胸をざっくりと裂かれ、そこから肝臓を吸い出されていたのだ。ほかの臓器は無傷だった。 海岸の近くに住むアリソン・タウナー氏は、サメを殺した犯人がすぐにわかった。まるで外科手術のように正確無比なやり方は、「ポート」と「スターボード」と呼ばれる2頭のオスのシャチの特徴的な手口だ。ポートの背びれは左に、スターボードの背びれは右に曲がっているので、2頭はすぐに見分けられる(ちなみに「ポート」は英語で左舷、「スターボード」は右舷を意味する)。2頭は少なくとも2015年からこの方法でエビスザメやホホジロザメを襲っていて、今回も2日

    【動画】サメの胸を正確無比に切り裂き、肝臓だけを食べるシャチ
  • 斬新なアイデアをシャワー中にひらめくのはなぜか、進む研究

    シャワーを浴びているときに、画期的なアイデアが浮かんだことはないだろうか。 (PHOTOGRAPH BY ELIZABETH CECIL, THE NEW YORK TIMES VIA REDUX) シャワーを浴びているときや愛犬との散歩中に、ずっと悩んでいた問題の解決策や妙案が浮かんだことはないだろうか。 実際、問題に四六時中取り組んだり、発想を必死に求めたりするよりも、あまり頭を使わずにできる日々の雑事をこなしているときの方が、創造的なひらめきを得られやすいことが、ここ15年の研究でわかってきた。 「予期せぬときに斬新な新しいアイデアが生まれると人々はいつも驚きます。私たちの文化には、そのような成果は懸命に取り組んではじめて得られるものだ、という通念があるからです」とカナダ、ブリティッシュ・コロンビア大学の認知神経学者カリーナ・クリストフ氏は話す。 受動的な活動の最中に妙案が生まれるの

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  • ネコに殺された232匹の動物たち、一枚の写真に

    写真家ジャック・ワンダリー氏の作品。2019年、ネコに致命傷を負わされ、米国カリフォルニア州の動物病院「ワイルドケア」に運び込まれた野生の鳥類、げっ歯類、爬虫類などを撮影した。(PHOTOGRAPH BY JAK WONDERLY) 死んだ動物の美しさを写真にとらえられるだろうか? 写真家ジャック・ワンダリー氏にとって、それは新しい挑戦だった。 ワンダリー氏の写真「Caught by Cats(ネコに捕らえられて)」は2020年、写真コンテスト「BigPicture Natural World Photography Competition」の人・自然部門で最優秀賞に輝いた。この写真はある残酷な現実を映し出している。それはつまり、この写真1000万枚分に相当する、何十億という動物たちがネコに命を奪われているという現実だ。 この写真を撮るきっかけとなったのは、米国カリフォルニア州にある非営利

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  • 第5回 日本のマンガやゲームに北欧神話が広まった歴史をひもとく | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

    信州大学人文学部の伊藤盡さんは、研究の柱に「日のマンガにおける北欧神話受容史の萌芽研究」を掲げている。たしかに、日には北欧神話に題材をとったマンガはとても多く、少しでも関心のある人なら5つどころか10以上、挙げられるだろう。21世紀になってからは、いわゆるライトノベルで扱われることも増えた。もはやすべてを把握するのは不可能ではないかという水準だ。 こういった日人の北欧神話好きはどこから来て、今どのように結実しているのか。伊藤さんによれば、アジアにおいて北欧神話をかくも受容し、新たな文化的な創造物を送り出し続けているのは、今のところ日だけだという。我々は何をそこに見るべきなのか聞いていきたい。 そのためには、マンガに限らず日における北欧神話の受容史を、まずは簡単に解説してもらう。 「日で北欧神話が受容されていく中には、やっぱり転機は3回あったと思います。1回目は山室静さん(190

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  • 史上最大の噴火は世界をこれだけ変えた

    1815年に起こったタンボラ山の大噴火により、直径6キロ、深さ1100メートルの巨大なクレーターが生まれた。(Photograph by NASA Earth Observatory) 今から200年前の1815年4月10日、インドネシアのタンボラ山が大噴火を起こした。それによって村ひとつが丸ごと消滅し、地球全体の気温は数度低下し、世界中で飢饉(ききん)と疫病が蔓延した。 これは歴史上最大規模の噴火として、今もその記録は塗り替えられていない。イタリアの古代都市ポンペイを地図上から消し去ってしまったベスビオ山の噴火と比べると、実に20倍の規模である。現在、同じ程度の噴火が起これば、当時よりもさらに大惨事を引き起こすだろうと専門家たちは口を揃える。 交通、料、人道的支援のインフラは今のほうがずっと整ってはいるものの、「現在地球の人口は70億人、世界の料と貿易ネットワークははるかに複雑になっ

    史上最大の噴火は世界をこれだけ変えた
  • 謎の人類ホモ・ナレディは死者をわざと洞窟で処分していた?

    アフリカのライジング・スター洞窟系の入り口に座る人類学者マリーナ・エリオット氏。同氏のチームは、この洞窟の曲がりくねったトンネル網の奥にある通路で、新たな遺骨を発見した。(PHOTOGRAPH BY ROBERT CLARK) 地下45メートルにある狭い裂け目に入った人類学者のレベッカ・ペイショット氏は、体をよじらせ、少しずつ曲がりくねった通路を進み、小さな岩棚にたどり着いた。そこには「お宝」が待ち受けていた。24万年以上前に生きた1人の子どもの歯と骨の断片だ。「ホモ・ナレディ」として知られる謎の人類の子どもだった。 2013年に最初の化石が見つかって以来、ここ南アフリカのライジング・スター洞窟系では、2000個近くにのぼるホモ・ナレディの骨と歯が採集されてきた。今回発見された子どもの化石は4歳から6歳の間に死亡したと推定され、6の歯と28個の頭蓋骨の断片が見つかっている。(参考記事:

    謎の人類ホモ・ナレディは死者をわざと洞窟で処分していた?
  • 探査機ルーシーが木星トロヤ群へと旅立つ、何がわかる?

    NASAの探査機による12年間のミッションでは、パトロクルスとメノエティウスの連星系など、木星軌道で7つの小惑星の探査が実施される。これにより人類は謎に包まれた木星トロヤ群の姿を初めて垣間見ることができる。(MONICA SERRANO AND RONALD PANIAGUA) 木星の軌道に、まだだれも近くで観測したことがない小惑星の大集団がある。そこには、太陽系誕生の貴重な秘密が隠されているという。 米国時間10月16日に打ち上げられたNASAの新たな探査機「ルーシー」は、木星トロヤ群と呼ばれるこれらの小惑星群の観測を目指している。12年間、64億キロにおよぶ旅のなかで、木星を先導する位置と追随する位置にある2つのトロヤ群に順に向かい、7つの小惑星を接近通過(フライバイ)する(木星軌道に達する前に、トロヤ群でない小惑星1つにも接近する)。 「ルーシーはこれまで探査されたことのない太陽系内

    探査機ルーシーが木星トロヤ群へと旅立つ、何がわかる?
  • 「ありえない場所」でマングローブ林を発見、海面上昇予測に関連

    メキシコのタバスコ州を流れるサンペドロ・マルティル川に接する、エル・カカワテというラグーン。このラグーンに沿って生育するマングローブ林は、通常の生息地である沿岸部から170キロも離れた場所にある。 (PHOTOGRAPH BY OCTAVIO ABURTO) メキシコとグアテマラの国境に近いサンペドロ・マルティル川沿いを調査していた研究チームは、海岸から170キロも内陸の地点で予期せぬ光景に出合った。川沿いのきらめく大きなラグーンに沿って、マングローブの林が広がっていたのだ。 そこは、マングローブ林があるはずのない場所だった。というのも、通常のマングローブ林は、沿岸の限られた区域で、海水と高潮にさらされながら力強く繁殖するからだ。しかし、この場所は標高が9メートルもあるうえ、滝の上流にある。(参考記事:「世界最大のマングローブ林は住民を見放したのか」) 研究チームが慎重に分析した結果、さら

    「ありえない場所」でマングローブ林を発見、海面上昇予測に関連
  • 現代の大型鳥に似ていた羽毛恐竜

    推定体重225キロの、鳥に似た恐竜の化石が中央アジアと北アメリカで発見された。 ILLUSTRATION BY EMILY M. ENG トッド・グリーン(Todd Green)氏の専門は、エミューと恐竜。なんとも変わった組み合わせだ。 動物の骨の展示を専門とするオステオサウル社に勤務するグリーン氏は、動物学者として骨格を制作したり、恐竜の絵を描くのを仕事としている。鳥に似た恐竜がどのように行動していたかを学ぶため、コロラド州の牧場で数百時間もの時間を費やしてエミューの世話をした経験も持つ。 今年3月、北アメリカでの発見としては最大級の羽毛恐竜の化石が見つかったと発表された。体重225キロ、体長3メートルの鳥に似た恐竜は、「地獄の鶏」とあだ名がつけられた。 「PLOS ONE」誌に発表された研究報告によると、この恐竜アンズ・ウィリエイ(Anzu wyliei)は鳥類にとても近く、エミューや

    現代の大型鳥に似ていた羽毛恐竜
  • 孤高の捕食者ではなかったサメ 数年にわたる友情を育む事例も

    サメときくと、力強く神秘的で孤独な深海の魚というイメージを持っていないだろうか? どこからともなく現れ、攻撃を仕掛ける「孤高の捕者」――こうしたイメージでサメは長年メディアに登場してきたからだ。 ところが今、従来のサメの孤独なイメージが覆されつつある。というのも近年、世界各地のサメ研究者が、サメが集まって仲間づきあいをしていることを発見しているからだ。 米フロリダ国際大学の海洋科学者ヤニス・パパスタマティウ氏の研究チームは、音波発信機を使って、ハワイ南西部のパルミラ環礁に生息する約40匹のオグロメジロザメの交流を4年間記録した。 この結果は、2020年8月に学術誌「英国王立協会紀要B」に発表された。論文によると、オグロメジロザメは何年も同じグループで過ごしていて、明らかに特定の個体と一緒にいることを好む傾向が見られ、なかには4年ものあいだ続いた「友情」もあったというのだ。

    孤高の捕食者ではなかったサメ 数年にわたる友情を育む事例も
  • 2400年前のいけにえトーロンマン 最後の食事はおかゆだった

    トーロンマンは約2400年前、革ひもで首を吊るされた後、デンマークの泥炭地に投げ込まれた。(PHOTOGRAPH BY ROBERT CLARK, NAT GEO IMAGE COLLECTION) ボグボディー(Bog Body)は「湿地遺体」の意味で、北欧や英国の泥炭地(ピートボグ)で見つかる保存状態の良いミイラ化した遺体のことだ。細かい表情が残っていたり、殺害など過去にどのような経緯で死に至ったかがわかっていたりするボグボディーもある。 (参考記事:「遠方より来たる“泥炭地のミイラ”」) ボグボディーの中でもよく知られているのが「トーロンマン」だ。1950年に、デンマークの中北部で泥炭を掘っていた人たちによって発見されたこの鉄器時代の男性は、毛糸の帽子をかぶっており、首の周りには紀元前350年頃に彼を絞め殺すのに使われた革ひもが巻かれている。トーロンマンは謎に包まれた殺人事件の犠牲者

    2400年前のいけにえトーロンマン 最後の食事はおかゆだった
  • イソギンチャクがアリを食べると判明、予想外の結果

    イソギンチャクの一種ホワイトプラムドアネモネがアリをべていたことが判明した。「全く予想していませんでした」と研究者は語る。(PHOTOGRAPH BY GINA KELLY / ALAMY STOCK PHOTO) 米国北西部の太平洋沿岸の海に潜ると、高い確率で幽霊のように白いイソギンチャクの森に遭遇する。ヒダベリイソギンチャクの仲間、ホワイトプラムドアネモネ(学名 Metridium farcimen)だ。 ホワイトプラムドアネモネは、高さが90センチにもなる世界最大級のイソギンチャクだが、何をべているのかなど、生態についてはこれまでほとんど知られていなかった。 べ物の特定が難しい理由は、ホワイトプラムドアネモネの触手が他のイソギンチャクと大きく異なっているためだ。イソギンチャクと言えば普通は、太くて長い触手を伸ばして獲物を捕らえ、毒を注入して動けなくする。だが、ホワイトプラムドア

    イソギンチャクがアリを食べると判明、予想外の結果