世田谷一家殺人事件、私は「真犯人」を知っている〜警察の致命的失敗とマスコミの怠慢 だから事件は迷宮入りとなった 文/一橋文哉 いまだに犯行動機さえわかっていない 「あの時は、絶対にこいつしか真犯人はいないと思った。それで、必死に行動確認や裏付け捜査に走ったんだが……」 そう話すのは長い間、世田谷事件を担当してきた元捜査員だ。 世田谷事件は、20世紀最後のカウントダウンがまもなく始まるという2000年12月31日午前10時55分頃、東京都世田谷区上祖師谷3丁目の会社員、宮澤みきおさん(当時44歳)宅で、みきおさんと妻泰子さん(同41歳)、長女で小学2年生のにいなちゃん(同8歳)、長男で保育園児の礼君(同6歳)が惨殺されているのが見つかったものだ。 現場には犯人のものと見られる指紋や掌紋、足跡、血痕、さらに凶器の柳刃包丁をはじめ、犯人が着用してきたジャンパーやトレーナー、帽子などの衣類とヒップ