私は料理をする。時に年代物のポンコツオーブンの懐柔に失敗し、ヘンテコなものを焼きあげる失態もなくはない。けれど少なくともそれ以上の頻度で、人前に供する。今のところ、腹をこわされたり、重篤な後遺症を訴えられたことはない。地場モノ且つ添加物なしの食卓に、一部のロハス愛好の友から妙な人気があることに、密かに戸惑っていたりもする*1が、いずれにしろ、私のことを知る人物*2にとって、日本国某所山の手のkanaka厨房の存在は珍しいものでもなんでもない。 けれど、ときどき私のことをよく知るはずの相手から、妙に意外がられることがある。「貴女は『家庭的』と呼ばれる事柄すべてに興味のない人だと思っていた」と。どうしてそう思うのか尋ねると、むかし私がそう力説していたのを確かに聞いた、と返される。その人数が一人二人のことではないので、もしかしたら本当にそんなことを口にしていた時代があったかもしれないと、最近、弱