4回転に賭ける~エフゲニー・プルシェンコと、ジャンパーたちの執念(その1) フィギュアスケートに関するたくさんの議論が起こり、多くの人々がこのスポーツの本質について考えた2009―10年五輪シーズン。すっかりオフシーズンとなってしまいましたが、この1年で話題になった事柄を、改めて少しずつ振り返ってみたいと思います。 まずは五輪男子を沸かせた「4回転ジャンプ論争」。米国のエヴァン・ライサチェクがトライせず優勝したのに対し、ロシアのエフゲニー・プルシェンコは4回転―3回転のコンビネーションジャンプを決めたにもかかわらず銀メダルに終わりました。すでに数年前から議論されているこの問題について、考えてみたいと思います。 現在の採点システムの上では、どうしても男子ならばトリプルアクセル(3回転半)までで勝負をする方が有利ではあります。4回転ジャンプにトライしなくとも、質の高いプログラムを見せ、音楽と巧