デビュー作『ハチミツとクローバー』の大ヒットで一躍人気マンガ家となった羽海野チカ。現在連載中の『3月のライオン』は、将棋界に生きる高校生プロ棋士・桐山零の物語だ。最新8巻の12月刊行にあたり、『ダ・ヴィンチ』1月号では4ページにわたる羽海野のロングインタビューを掲載している。 幼い頃に事故で家族を失った零は、自分の世界に閉じこもり、人とのかかわりを避けてきた。そんな彼を優しく受け止める川本家の三姉妹に出会うことで、零ははじめて自分の居場所を得る。自分を必要としてくれる大切な人の想いを背負い、将棋に向かい合うようになっていく零。これから、自らの外側にある新しい世界へと踏み出していく彼の前には何が待ち受けているのか。8巻は、そうした新局面の序章としての緊迫感に満ち満ちている。 ――将棋と大切な人。このジレンマは、羽海野さん自身の創作活動の悩みとも重なるのではないだろうか? 「『ハチクロ』が終わ