東京電力福島第一原子力発電所事故(以下福島第一原発事故)の後、住民の不安の声を受け、福島県は、2011年10月から原発事故当時18歳以下だった全県民を対象に、甲状腺がんの超音波スクリーニング検査(以下「甲状腺検査」)を実施している。 甲状腺検査の目的のひとつとして、原発事故による放射線被ばくによる甲状腺への影響(甲状腺がんの増加の有無)を調べることが挙げられている。原発事故による放射線被ばくで子どもの甲状腺がんの発生が増えるかどうかについては、福島県民のみならず、国内外の強い関心を集めている。福島第一原発事故の歴史的評価にも大きく関わる問題でもある。 ところが、検査を継続し、その結果を解析したとしても、放射線被ばくと甲状腺がんの発生率との因果関係を知ることはできないとの指摘が、県の設置する専門家会合(「県民健康調査」検討委員会)の委員からなされた。検査の目的のひとつが達成できないとすれば、