◆危険地取材の現場で オレンジ色の「囚人服」を着せられた人質に、黒覆面の男がナイフを突きつけ、「安倍よ、日本の悪夢が始まったのだ」と脅迫する。あの戦慄(せんりつ)の映像は、私の頭から離れない。 ジャーナリストの後藤健二さんが、過激派組織「イスラム国」(IS)によってシリアで殺害されたのは、ちょうど6年前。このときあらためて危険地帯取材のあり方が問われることとなった。シリアやイラクで取材を重ねてきた私も、以前にも増して慎重に現場に立つようになった。当時、「そんなところへ行かなくても地元の人が撮影した映像でいいのでは」という声も出た。だが、地元の記者は外国人以上に犠牲となっている現実がある。(玉本英子・アジアプレス) <シリア>拘束され行方不明の地元記者ら 数知れず(写真4枚) 戦闘や拉致でイラク人記者の犠牲が相次ぎ、国際ジャーナリスト連盟は安全対策講習を開催。講師(左)は元英軍特殊部隊員。(