内田:2020年の春、日本中でマスク不足の騒ぎが起きましたね。やや落ち着いた頃、海外製マスクが入ってきても、多くの消費者は「日本製がいい」と望みました。具体的な性能差がなくても日本製が望まれたのは、「メイド・イン・ジャパン」に高い信頼性があるから。 私が注目しているのは、ブランド形成プロセスの変化です。かつては企業がマス広告を通して情報を発信し、それを消費者が見聞きすることでブランドが形成されました。しかし今、消費者は企業発の情報をあまり信用しなくなり、口コミやSNSを頼るようになった。ブランド形成の経緯が複雑化している。これは非常に大きな変化です。 伊佐:人々が情報を得る経路が複雑になるほど、ブランドの重要性は増します。インターネット上の情報は玉石混淆で信頼性を見抜きにくく、真偽を一つひとつ調べるのは難しい。フィルターの役目を果たすものが必要になりますが、それがブランドではないでしょうか