「マッチはいかがですか。マッチを買ってください」 雪の降る寒い大晦日の夜、少女が街路でマッチを売っています。 籠一杯のマッチ、つぎはぎだらけの貧しい服、靴さえなく、足は赤くかじかんでいました。 道行く人々は年越しを祝うために足早に少女の前を通り過ぎ、目を合わせようとすらしません。 夜が更けてきても、マッチは一つも売れず少女は寒さと空腹に必死に耐えていましたが、とうとう寒さをこらえ切れずマッチを一本擦って火をつけました。 すると少女の前の前には暖かい暖炉に七面鳥のごちそう、クリスマスツリーが現れました。少女は空腹を忘れてその楽しく温かい光景に見入ってしまいます。 しかし火が消えるとその幻も消え、また暗く寒い現実が現れます。 「ああ、こんな風に温かい家でごちそうが食べられたら……」 少女は星の輝く空を見つめます。ひときわ明るい星が瞬いて、そして流れ落ちていくのが見えました。 少女は昔、大好きだ