桜井英治、清水克行「中世史の魅力と可能性」『図書』784、2014、pp.12-19 少しメモ。 清水 安倍首相が、日本史を高校でも必修化すべきだ、日本人としてのアイデンティティ、歴史、文化に対する教養を備えるためにも日本史をもっと学習するべきだと言っていますね*1。ところが、中世史からはそこで期待されているようなものが生まれてこないんですよね。むしろ日本人のアイデンティティを揺るがすような、近代とか国家とか自明視してきたものを覆すのが中世史ですから。今こういう時代だからこそ、むしろ中世史って大事じゃないかと思うし、非近代的な要素を拾い出してくる作業は、これからもっと必要になる気がしています。 桜井 中世って今の政治家からすると日本史の邪魔な部分なんでしょうね。 清水 道徳でも過去の歴史上の人物を教えろと言いますが、そういう中に一人も中世の人物が入っていないのは痛快です。時の政府に都合のい