拡大する サスケハナ川に浮かぶ米スリーマイル島。蒸気の出ていない手前の二つの冷却塔が炉心溶融事故を起こした2号機。今も解体されていない 東浩紀(作家・思想家) 原発は倫理的存在か 原発をめぐる議論で「倫理」がなぜ問われるかといえば、それは使用済み核燃料の処理技術が確立されていないからである。「トイレのないマンション」とも揶揄(やゆ)されるように、現在の原発は、使用済み燃料の処理を、長期間保管しその危険性が自然に減衰するのを待つか、あるいは後世の技術開発の可能性に委ねることで成立している。いずれにせよ、いまここで処理できないものを、いつかだれかがなんとかしてくれるという「他人任せ」の態度のうえで成立しているのは疑問の余地がない。 面倒なことは他人に任せ、自分だけが利得を得る。そのような態度が「よい」ことであるかどうか。原発の倫理的問題は結局はそこに集約される。日本では福島第一原発事故を機には