『日本のメリトクラシー』(竹内洋、東京大学出版会)を読む 赤字部分は今井によるコメントである。 第三章 受験と選抜 日本は学歴収益率の低い社会である。(86) 日本では、学歴に独自の象徴的価値がある。人々は、銘柄大学の卒業生に対して、「人間としての基本的価値が高い」「社会的毛並みが良い」という「まなざし」を送る。日本は階級意識社会ではないが、学歴意識社会である。(89) 日本では、一握りの学校だけでなく、すべての学校が序列化されている。これによって、受験競争は冷却化されるのではなく、頑張って少しでも偏差値の高い大学へ行こうというように、却って煽られるのである。(96) 中位ランクは中位ランクで、下位ランクは下位ランクでのさらなる競争があるから、冷却の後に再加熱が作動する。 (100) 日本の場合、純粋トーナメントからの逸脱にこそむしろ注目すべきである。大学入試では高校段階の選抜結果は御破算