「キス」のことを、ちょっとオシャレに「くちづけ」などと言うこともありますが、昔は「接吻」と言いました。この接吻という言葉が生まれたのは、じつは明治時代半ばのことなのだそう。では、それまでは何と言っていたのかというと…。 「平安時代、紀貫之の『土佐日記』の中に初めて『口を吸う』という言葉が登場しました。これが、まさにキスのことですね。口を吸う(『舌を吸う』ということもある)という見たままの表現ということもあり、当時はかなりキワドい言葉として扱われたようです。そのため、時代とともに一風変わった隠語で呼ぶようになったんですよ。例えば、漢字の『口』を2つ並べて『口口』としたり、はたまた上下につなげて『呂』と表現したりしました」 そう教えてくれたのは、サブカル系歴史作家の堀江宏樹さん。堀江さんいわく、こうした恋愛や性にまつわる隠語は遊郭の歴史とも関わりが深いのだそう。たとえば、キスのことは… 「遊女