ケータイ小説ブームは終わったか ケータイ小説をめぐる論考は、今年春ごろから大きく盛り上がり、刊行書籍もたくさん刊行された。中でも出色は速水健朗氏の 『ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち』(原書房)で、ケータイ小説のブームを地方のヤンキー文化の復権としてとらえてきわめて秀逸だった。二〇〇五年の大ベストセラー『下流社会 新たな階層集団の出現』(光文社新書)が描いたジモティ(地元民)の延長線上に、ロードサイド文化の出現を描いたその視点は斬新で、いまや日本の文化はロスジェネ空間とロードサイド空間に二分されつつあるのではないかという印象さえ持ってしまう。 一方で、「もうケータイ小説ブームは終わったんじゃないの?」という声も、少なからず出ている。ケータイ小説は二〇〇〇年に『Deep Love アユの物語』が書かれてスタートし、『天使がくれたもの』を経て、二〇〇六年に刊行された『恋空』が